ホームレスは助け合うのか、それとも冷淡で孤独なのか...不思議な「兄弟分」の物語
ただ信頼できる友人が隣にいることの素晴らしさ
振り返れば、桂さんが斉藤さんにした最大の手助けは、3年前に彼をこのラッキーな場所に連れて来て、彼のために新しい家を建ててあげたことだ。斉藤さんはここを「天国」と呼ぶほどである。 桂さんは家を建ててあげただけでなく、川で魚を釣る方法やエビを捕まえる方法、冬の寒さや夏の暑さをどのように乗り越えるかなど、野外生活のテクニックを斉藤さんにたくさん教えた。 桂さんは斉藤さんのためにいろいろな手伝けをしているようだが、一方で、斉藤さんが桂さんのために何かしているようには見えなかった。これは桂さんが有能すぎて、人を助けるのが好きな性分だから、としか言いようがないだろう。 しかし、私は何度か、斉藤さんがボランティア団体からもらったカップラーメンなどの食料を桂さんにあげている場面は見た。桂さんが気を遣わずに受け取れるように、斉藤さんはわざわざ「私は食べ慣れていないから」と強調していた。 とはいえ、桂さんにとって、隣に斉藤さんのような信頼できる友人がいることそのものが、天の恵みのようなものなのだろう。何かあったらすぐに相談できるし、誰かと話をしたいと思ったら、声をかければ斉藤さんがすぐ来てくれる。 それだけでなく、夜中の野外では兄弟分のいびきが聞こえる。孤独なホームレス生活で寂しさを和らげ、恐怖を取り除き、安心して眠るための最高の安眠法ではないだろうか。 文・写真:趙海成(チャオ・ハイチェン)