G20サミット閉幕 トランプ氏に平和への「協力」求める首脳も
ブラジルのリオデジャネイロで開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は19日、脱炭素に向けたエネルギー移行の取り組みや持続可能な開発などについて討議し、閉幕した。閉幕後に首脳からは、「米国第一主義」を掲げ、来年1月に米大統領に返り咲くトランプ氏に対し、平和の実現に向けた「協力」を求める声も上がった。 ブラジルのルラ大統領は閉幕時の演説で、貧困・飢餓対策を加速させる国際枠組み「グローバルアライアンス」(世界同盟)を発足させたことなど成果を誇った。また、2022年のインドネシアから25年の南アフリカまで4年連続でグローバルサウス(新興・途上国)がG20の議長国となることに触れ「(この3年間)我々は人々の生活に影響を与える取り組みの推進に努めた。我々を超える成果を期待する」と述べて南アにバトンを渡した。 今回の首脳会議は、今月5日の米大統領選でトランプ氏が勝利して以降、欧州やアフリカを含む各国の首脳らが集まる初の機会となった。 トルコのエルドアン大統領は閉幕後に記者会見を開き、平和を追求する上で米国の役割は欠かせないと強調。第2次トランプ政権が「平和に向けて大胆かつ慎重に、そして協力的な手順を踏むことを希望する」と語った。 トランプ氏は首脳同士の「ディール(取引)」で紛争や対立を解決することを好む。エルドアン氏はウクライナ危機でロシアとウクライナの仲介役を担い、ガザ情勢ではイスラエル批判を繰り返してきた。トランプ氏の復権で、これらの状況がどうなるか注視しているとみられる。 一方、ルラ氏は閉幕後の会見を取りやめた。ブラジルメディアによると、英国のスターマー首相らとの会談を優先させたほか、20日に中国の習近平国家主席を迎えるために首都ブラジリアに戻ることから、スケジュール調整が難しくなったという。【リオデジャネイロ中村聡也】