歌手の夢を諦め葛藤した過去 夢見た場所でのライブを開催した、Uruの意識改革
それだけに、ライブが終わった後にはさまざまな感情が込み上げてきた。 「何より安心感が大きかったです。何もなければ、きっと達成感があったと思うんです。でも、無事公演を終えることができた安心感が最初にあった。そのあと、じわじわと『本当にこの場所に立つことができたんだ』という実感が湧いてきました」 自分自身に深く向き合ったことも、Uruにとって大きな糧になった。 「体調を崩したことで、自分に対しての見方も変わってきました。自分の良いところや悪いところを素直に俯瞰で見られるようになったと思います。このまま考え方を変えないと自滅すると思ったんです。いろんな人の意見を伺ったり、専門の本を読んだりして、自分が今どういう気持ちを抱えているのかを書き出してみました。今振り返れば自分自身とちゃんと向き合えた良い機会だったんだろうって思います」
「必ず道は繋がっていく」創作の裏側にはUru自身の経験
Uruは、4月に放送がスタートしたドラマ「風間公親-教場0-」の主題歌「心得」を書き下ろした。繊細なピアノの響きに乗せてドラマティックなメロディを歌うバラードナンバーだ。制作する過程で、Uruは心身不調だった当時のことを自然と思い返していたという。 「脚本を読んで、前回の『教場』シリーズを繰り返し見ていくうちに、風間公親という指導官の言葉が当時の私に向けて言われているかのような感覚に陥ったんです。後悔や失敗があったからこそ気づける気持ちがあると感じました」 「心得」には「描き続けるなら その場所へと 必ず道は繋がっていく」という歌詞がある。自分の決意に従い、信念を曲げずに歩む思いを綴った一節だ。警察学校の生徒や新人刑事の成長を描く「教場」シリーズのストーリーに寄り添った楽曲でありつつ、その言葉にはUru自身の実感も込められているのだろう。
同じく4月に放送がスタートした、アニメ「地獄楽」のエンディングテーマとして書き下ろした「紙一重」には、「もっと もっと 強くなれたら 心の奥 ずっとずっと変わりたかった」という歌詞がある。「地獄楽」の登場人物の佐切の目線だという。 「私自身、もっと強くなりたいと何度も思ってきたので。言えない弱さ、言わない強さ、そのどちらもまさに紙一重だなって」