持ち味を引き出して生かす 大阪勧業展で見つけた個性派商品
個性的な商品が話題
大阪府内の商工会議所と商工会が共同開催する多業種型総合展示会「大阪勧業展」が大阪市中央区のマイドームおおさかで開かれ、多くの来場者でにぎわった。ジャンルは異なるものの、個性的な商品が話題を呼んだ。商品の持ち味を引き出して生かし、人の心を豊かにして贈り物に適している点が通じ合う。 【拡大写真付き】「手作りへの愛着」職人作家が技を披露 大阪の商店街で
酸味の強い「ケニア」など個性派コーヒーをプレゼン
香ばしいにおいにひかれて立ち止まる。コーヒー豆の販売会社ワコー(富田林市)のブースだ。同社は富田林市と河内長野市に店舗を構え、コーヒーの魅力を地域に根付いて発信してきた。個性の異なるコーヒー豆のギフトセットを独自に開発し、歳暮商戦で展開するための市場調査を兼ねての出展だ。 試飲用のコーヒーを口に含むと、あまり経験したことのない衝撃が口の中に広がる。かなりの酸味だ。舌を刺すような酸味ではない。ふくよかで奥の深い酸味と表現できようか。周囲の試飲者に感想を聞くと、同じようにやや驚きながらも、ゆっくり味わってから「美味しい」とうなづく。 銘柄はケニア。フルーツのような香りと独特の酸味が異彩を放つ。担当者は「展示会で紹介するなら、インパクトのある銘柄がいいかと考え、酸味の強いケニアを選びました。くせがありますが、昔から酸味のある銘柄を好むコーヒーファンがいます」と話す。 幅広い品ぞろえの喫茶店の中から、コーヒーの品質を重視するコーヒー専門店が進化してきたのは、1970年代だった。店主たちはご自慢のストレートコーヒーを、日替わりサービスなどでアピール。顧客たちは多少割高になっても、いろんな銘柄を飲み比べながらコーヒーのだいご味を追い求めていく。酸味の強さも個性のひとつとして支持を集めていた。やがて食材全般のマイルド志向化に伴い、まろやかなブレンドコーヒーが主流派を形成する。 同社のケニアの提案は、忘れかけていたコーヒーの多様性を再発見させるきっかけになるかもしれない。同社は約40種類のコーヒーを扱う。豆の持ち味を生かすため、銘柄ごとに焙煎方法に工夫を凝らす。 個性派はケニアだけではない。コーヒー通あこがれのブルーマウンテンは気品にあふれ、マンデリンは土臭さが格別の魅力を醸し出す。担当者は「顧客の声を聞きながら銘柄を吟味し、今年のお歳暮に選んでもらえるギフトセットに仕上げたい」と意気込む。長らく喫茶店が親しまれてきた大阪から、コーヒー文化の新たな一杯が香り立ちそうだ。