東京のバンカー報酬は香港やNYに及ばず、市場活況で仕事量増加でも
日本銀行の元審議委員で慶応義塾大学教授の白井さゆり氏は、外資系金融機関は日本人が銀行口座に預けている多額の預金を他の資産に投資すれば、ビジネス機会が生まれると考えているかもしれないが、高齢化社会において人々はより慎重になる傾向があるとして、先行きは不透明だとみている。
過去30年間、ウォール街の金融機関が中国本土に進出するために香港などの拠点にリソースを注いだため、東京は主要な国際金融センターとしての地位を築く機会を逃してきた。中国が香港を厳しく管理し、シンガポールの生活費が高騰している現在でも、これらの都市が選好されている。
ヘイズ・ジャパンのブレナン氏は「香港からの人材流出は数年前から続いているが、さらに悪化している。シンガポールも同様だ」と指摘する。
そうした環境下では金融のプロフェッショナルを日本に誘致しやすくなるはずだが、報酬の少なさが壁になっているという。ブレナン氏によると、東京での人材仲介に関する候補者とのやりとりはほとんどが双方の失望に終わるという。「優秀な人材であれば、香港やシンガポールの報酬は東京よりもはるかに高いからだ」と述べた。
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--取材協力:Patrick Winters、Manuel Baigorri.
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Ambereen Choudhury, Takashi Nakamichi, Lisa Du