焼津駅前通り商店街の一角、再開発へ 2030年度目標 “にぎわい拠点”さらに活性化
焼津市の焼津駅前通り商店街の一角が、2030年度を目標に再開発される方向へと動き出した。既存の商店を取り壊し、高さ約60メートル、17階建ての店舗兼マンションなどを建設する計画。同商店街があるJR焼津駅周辺は近年、若者や親子連れなどが集う拠点づくりが進んでいて、地域活性化のさらなる起爆剤として今後の進展が注目される。 再開発が計画されているのは、商店街の南端に位置し、呉服店や新聞販売店、接骨院など七つの店舗・事業所と複数の駐車場が営業している同市栄町3丁目のエリア。商店街全体の7分の1ほどを占める。13の地権者で組織する「栄町第一地区市街地再開発準備組合」が事業主体となっている。 現時点の構想では、約4900平方メートルの敷地に店舗と共同住宅、店舗と駐車場の複合ビル2棟を建設する。地上17階の共同住宅は約120戸を想定する。駐車場は275台程度の収容規模を予定。2棟の間には広場を設ける。28年度に本体工事に着手し、30年度の完成を計画している。内容についてはさらに検討を進めながら固めていく。 商店街には20年ごろから地元の若者が中心となって空き店舗に私設図書館やコミュニティースペースの機能を持つカフェなどを開設。商店街の終着点のそばに位置する市の子育て支援施設「ターントクルこども館」は21年7月に開館し、すでに20万人以上が訪れている。他にも、こども館から北東約600メートルの焼津港近くに漁具倉庫を改装した民間の複合施設「焼津PORTERS(ポーターズ)」ができるなど、駅周辺ににぎわいの拠点が生まれている。 4日に同準備組合の清水善郎理事長と石原康平副理事長が市役所を訪れ、再開発の基本構想の素案を市に提出した。清水理事長は「事業の実現が焼津市の中心市街地の活性化に寄与すると考えている」と強調。素案を受け取った中野弘道市長は「(新たな)人の動きが出始めている地域。都市計画決定に向けて前に進めていく」と応じた。 ■近年若い世代の姿多く/店舗老朽化、後継者など課題も 一角が再開発される計画が明らかになった焼津駅前通り商店街は、JR焼津駅南口から南東に約400メートルにわたって約30の店舗や施設が県道沿いに連なる。戦前から続く歴史ある商店街には近年、空き店舗の活用や市の子育て支援施設の開設で若い世代の姿が多く見られるようになったという。 一方で、店舗によっては建物の老朽化や後継者問題などの課題を抱えている。同商店街振興組合の福与功一理事長は「リノベーションに再開発が加わることでまちが活性化され、より多くの人の流れにつながれば」と関心を寄せる。
静岡新聞社