テーマは“生きるとは?” 絵本作家・ヨシタケシンスケ「小さい子にきょとんとしてほしい」
日テレNEWS NNN
子どもだけでなく、大人も考えさせられる“発想えほん”シリーズなど、多くの作品を手がけてきた絵本作家・ヨシタケシンスケさん(50)の自身初となる長編絵本『メメンとモリ』。27日発表のトーハン週間ベストセラーの児童書部門で1位にも輝きました(トーハン調べ)。ヨシタケさんに、“生きるとは?”をテーマに制作された今作への思い、自身の考える“生きるとは?”についてお話を聞きました。
■ヨシタケシンスケが提案する“生き方の1つの選択肢”
『メメンとモリ』は、冷静な姉のメメンと情熱家な弟のモリが登場する作品です。メメンが作ったおさらを割ってしまい、クヨクヨしているモリに対して、メメンが「大丈夫よ。またつくればいいんだから」と励ますところから始まる『メメンとモリと ちいさいおさら』など、3つのおはなしで構成。作品を通して「人は何のために生きてるの?」かについて考えるきっかけとなる絵本となっています。 ――“生きるとは?”をテーマにした作品を作ったきっかけはなんですか? “メメントモリ”はラテン語の「いつか死ぬことを忘れるな」という言葉なんですけど、ある時にその言葉を思い出して、「メメントモリ」の“ト”の部分をひらがなにしたら二人組みたいになるなと面白いなと思って。そういうタイトルの本があったらどんな話だろうというタイトルから実は始まったんです。最近僕が思っていること、「人って何のために生きているのかな」とか「どうすればもうちょっと楽に日々過ごしているんだろう」みたいなことを、ついつい考える癖があるんですけど、そのタイトルの中で“メメン”と“モリ”と二人に語らせることで、生き方の1つの選択肢というか、こういうふうに考えてみてもおもしろいんじゃないのかなみたいなことが提案できればいいんじゃないかと思って作りました。
―― キャラクターを“メメン“と“モリ”という姉弟にした理由を教えてください。 どんな二人に生と死の話をさせようかとなった時に一番大事だったのは、この本に書いてあることがあくまで考え方の一つでしかないと、「こうやって考えることもできるよね」「これもただの一意見だよね」というような立ち位置にしたかったんです。例えば、姉のメメンの方がおじいちゃんやおばあちゃんだったり、すごく人生経験の豊かな人がそのことをしゃべってしまうと押しつけがましくなっちゃうんじゃないかなと思って。二人とも子供で、子供同士が自分の経験から気付いたことだけをやりとりするという方が本の中で出てくる言葉の信ぴょう性が下がるというか、「そういうふうに思う時もあるだろうね」というふうに読んでもらえるんじゃないかなと思って。小さいながらもある程度お互いのことが知れていて、ちゃんと物が言える間柄で、そういう話をするっていうのがいいかなと思って姉と弟にしました。