財政破綻しデフォルト宣言したスリランカの庶民生活の現実(下)
『2023.11.11~12.28 47日間 総費用22万円(航空券8万7000円含む)』
校長先生もアルバイトしないと生活できない
急峻な岩山の頂上に狂気の王が築いた世界遺産の王宮城(シーギリヤ・ロック)で知られるシーギリヤは地方の村落である。村の中心部にシーギリヤ・カレッジ(Sigiriya College) なる建物があった。日本の小学校と中学校を併せた9年制の公立学校だ。スリランカ英語ではcollegeはこのような学校一般を意味するようだ。 校長先生に概要を伺ってから副校長に校内を案内してもらった。やはり政府の予算不足で学校を維持する費用は国内外の慈善団体の寄付で賄っているという。副校長によると教師の給与も据え置かれ猛烈なインフレで物価が高騰するなかで校長以下教師全員が何らかの副業を掛け持ちして生活を維持しているとの説明。 副校長自身は放課後には地主の畑を耕し、夕刻は自宅で私塾を開いて英語の特訓をしているという。校長ですら月収3万5000円であり副校長は3万円足らずなのでアルバイトして糊口を凌いでいる有様と嘆いた。(注)本稿では読者が理解しやすいように現地通貨の値段・価格をすべて1ルピー=0.5円で換算して日本円で表示する。 ちなみにスリランカの物価は卵一つ30円、コカ・コーラ400ミリリットル85円、国産ビール大瓶250円、カレーパン50~60円(日本のカレーパンより小さい)、卵野菜ロールパン60~80円、ミルクティー1杯85円、市内バス20円~45円、チキンカレーライス300~500円(鶏肉は30グラムくらいの小さな塊一つのみ)、袋ラーメン5個入り(日本より小さいサイズ)320円、紅茶ティーバッグ(25袋入り)150~180円……であり、日本と比較して安いのは公共交通機関くらいで食品類は余り割安感が感じられない水準である。これでは月収3万円程度で家族を養うことは絶対不可能だ。 ちなみにシーギリヤで投宿したゲストハウスのボーイ兼コックは英語も上手で働き者で気が利くので親しくなった。彼は上記の公立学校の教師だった。週日は学校が午後2時頃終わるので午後3時から深夜までゲストハウスで勤務。学校のない土日祝日は早朝から深夜までゲストハウスで働いていた。