財政破綻しデフォルト宣言したスリランカの庶民生活の現実(下)
驚異の昭和の日本製中古輸入自転車
中国人起業家L氏の話を聞いて納得したエピソードがある。11月18日朝、宿で自転車をレンタルした。出てきた錆びたおんぼろ自転車はとても乗れそうにない代物だ。日本語の登録証を見ると45年前に製造された日本製だった。日本ではもはや屑鉄にしかならない昭和の遺物。 完全にタイヤの空気が抜けている。母親が運転するミニバイクの後ろに青年が乗り自転車のハンドルを掴んでミニバイクに自転車が並走させるかたちで自転車屋に出かけた。なかなか戻らないのでしびれを切らしていると、1時間後にやっと青年が自転車に乗って戻ってきた。後輪のタイヤとチューブがボロボロだったので交換したという。前輪もかなりあやしいのだが。 試しに庭をそろりと走ってみると後輪しかブレーキが効かない。またサドルがぐらぐらしており、しかもサドルの前半分が腐って崩れ落ちている。青年はサドル交換のため自転車屋まで一緒に行くという。青年が運転する車の後ろについて約3キロの道のりを立ち漕ぎで走って自転車屋へ。自転車屋のオヤジが在庫の山からそれらしい中古のサドルを探してきて交換した。 他のゲストハウスでも偶にレンタル自転車あってもおんぼろ中古ばかりで快適に走れる自転車は皆無だった。自転車の新車が3万5000円では公立学校校長先生の月給と同じだ。スリランカでは昭和の遺物でも大事に乗らねばならない理由が理解できた。 以上 第3回に続く
高野凌