財政破綻しデフォルト宣言したスリランカの庶民生活の現実(下)
国家は取れるところから税金を搾り取る、重税による物価高
財政再建に向けてお目付け役のIMF(国際通貨基金)の厳しい指導の下、スリランカ政府は税収増に必死だ。スリランカ滞在中に再三人々から聞いたのが「政府は金持ちや政治家から税金を取り立てないで、取り立てやすい庶民に重税を課して苦しめている」という不公平感である。 VAT(付加価値税)は2022年に8%から12%に引き上げられ、2023年11月時点では15%。そして2024年1月から18%である。今年中には20%を突破すると人々は予想している。 12月25日。スリランカ随一のビーチリゾートであるヒッカドゥアの中堅ホテルオーナーのK氏は35年前に日本留学したという論客である。同氏によると政府はすざましい勢いで各種税率を引き上げているという。現在の税率ではビール70%、蒸留酒80%が税金。ホテルの酒類提供認可(リカー・ライセンス)+宿泊許可証の更新手数料だけで年間40万円。 K氏は日本製中古車ビジネスの経験もあるが、最近は日本での買付価格の2倍から3倍がスリランカ国内販売価格という。この差額の大半が税金と役人への手数料(賄賂)という。ちなみにK氏の友人のタクシードライバーは最近2015年製造のトヨタのヴィッツを150万円で購入。また、メリッサビーチで観光客の送迎をしていた運転手は2007年製造のトヨタのハイエースを2015年に250万円で購入したと語っていた。
重税とインフレで調度品や設備の価格は中国国内の2倍以上
12月26日。ヒッカドゥアで2023年春にホテルを新規営業開始した中国人起業家のL氏。36歳であるが23歳から世界各地でビジネスをしてきた叩き上げの国際派だ。ホテルの建屋・土地は元オーナーのイタリア人から賃貸で借りている。 営業開始にあたり必要最低限の家具・什器・家電などを購入したが、重税とインフレで中国国内価格の2倍以上だったと嘆いた。ちなみにスリランカで新車を購入すると、実用自転車3万5000円、ミニバイク35~45万円、三輪タクシー100万円が相場であるという。