韓国・非常戒厳から1週間 沈黙続ける北朝鮮=緊張高めない意図か
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「非常戒厳」を宣言してから10日で1週間となるが、北朝鮮メディアは非常戒厳の宣言と解除、尹大統領に対する弾劾訴追案の発議、大統領の退陣を求める大規模な集会などについて報じていない。韓国を非難する記事も掲載していない。 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞はこのところ、韓国社会で相次いで出された尹大統領への非難声明や集会関連記事を毎日報じていたが、4日付を最後に韓国側の動向を伝えていない。 2016年に当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾案が可決されたときとは対照的だ。労働新聞や朝鮮中央通信などは朴氏の長年の知人、崔順実(チェ・スンシル)氏による国政介入疑惑が一気に浮上した16年10月24日の3日後から韓国社会の動向や集会などを詳しく伝えた。 北朝鮮メディアは韓国の金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官が平壌への無人機侵入を指示したとする野党議員の主張についても反応を示していない。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長は10月、韓国の無人機が平壌上空に侵入したとして、「主犯は韓国軍」と非難していた。 北朝鮮が沈黙を続けているのは、韓国を不必要に刺激せず、突発的な事態を避ける思惑があるとみられる。ウクライナに侵攻するロシアに大規模な兵力を派遣したなか、韓国側との軍事的な緊張が高まることを避けたい考えもあるとみられる。また、非常戒厳宣言とその後の大統領の弾劾案発議などを住民に伝えることは内部統制に役立たないと判断した可能性もある。最高指導者が宣言した非常戒厳が国会や国民の反対で解除された状況を伝えることは北朝鮮にとっては「利益」にならない。 北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)総長は「体制内部的に否定的な影響を遮断する意図」だとして、「今後、無人機事件は韓国軍による侵入という証拠が拡散すれば金与正氏の談話などを通じ韓国非難を再開すると思う」との見解を示した。
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