浜崎あゆみはなぜギャルに刺さった? 朝ドラ『おむすび』で登場「Boys & Girls」の“輝き”
平成初期生まれのライターにとって、朝ドラ『おむすび』(NHK総合)は、懐かしい気持ちにさせてくれる要素がちりばめられている。 【写真】道端での結(橋本環奈)とハギャレンたち それもそのはず、主人公、米田結(橋本環奈)は平成元年生まれという設定。特に地元ギャル集団「ハギャレン」こと「博多ギャル連合」の持ち物や、結を取り巻く環境はゼロ年代に学生時代を過ごした人たちをエモーショナルな気分にさせがちだ。 例えば、第2週「ギャルって何なん?」では、とあるシーンが話題になったのをご存じだろうか。 それは、「ハギャレン」のメンバーであり、総代表のルーリーこと真島瑠梨(みりちゃむ)の着信音が、1999年に発売されてヒットした浜崎あゆみの「Boys & Girls」だったということだ。 しかもこの曲、なんと第3週にカラオケシーンでも登場する。当時のギャルたちにとって、この曲が、そして浜崎あゆみがいかにして神格化されていた存在かということを思い出させてくれた。 当時、楽曲におけるメロディや歌詞はもちろん、持ち物や服装をとっても憧れの存在だったあゆ。あゆがヒョウ柄を纏えばヒョウ柄が流行り、「evolution」のMVでファー素材のしっぽをつければたちまちそれがバラエティショップなどで売り出されるように。当時、小学生だった筆者も「しっぽがほしい!」と親に懇願したのを覚えている。 そんなあゆの楽曲が私たちに支持されていた理由を今、改めて思い返すと、それは心の奥深いところに寄り添う力と、不安定な世の中だろうと関係ないとエンパワーメントする前向きさにあるように思える。 「Boys & Girls」は、まさに後者のような楽曲の代表例だ。 時は1999年。2000年問題という言葉や、ノストラダムスの大予言などもあってミレニアムイヤーへの期待はありつつも不安が拭えなかったあの頃。そんな中でリリースした楽曲の出だしが〈輝きだした 僕達を誰が止めることなど出来るだろう〉なのだから、もうそれは元気が出るに決まっている。 また、あゆの楽曲には“シアワセ”という言葉が多数出てくる。ただ、その“シアワセ”は誰かによってもたらされるものというよりも、私たちがいつか自分の力で掴めるものとして出てくることが多い印象だ。 そんな風に前を向かせる力は、きっとここにしか居場所がないと話す「ハギャレン」のメンバーにも刺さるのだろう。今は厳しい境遇だとしても〈止める権利が〉ある人は誰もいないと。 そういうふうに考えると、ルーリーが「Boys & Girls」を着信音にチョイスしているという事実にグッとくる。 きっとここから彼女ら、「ハギャレン」のメンバーは、はばたいていくし、輝いていくことを夢に見ていて、そしてそれが実現すると信じているのではないかと。そういうことにも思いを巡らせながら、ぜひ『おむすび』で使用される楽曲に注目してほしい。
於ありさ