萩原利久、“親友”北村匠海監督の脚本に驚き「体の内側まで全部見られていたような感覚(笑)」
俳優の北村匠海、萩原利久、藤堂日向が、国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2024 秋の国際短編映画祭」(SSFF & ASIA 2024)内のプレミアイベントとして10月27日に都内で開催された、短編映画「世界征服やめた」ワールドプレミア上映トークイベントに登場。北村の“初監督作品”となった同作についての印象などを語った。 【写真】萩原利久&藤堂日向のスーツ姿も決まってる…! 北村匠海が初監督を務めた「世界征服やめた」のキービジュアル ■監督として初の舞台あいさつ登壇「もっと緊張するものだと…」 同作は、俳優でありアーティスト、楽曲制作を手掛ける他、写真家としても活動するなどマルチな才能を発揮する北村が、今は亡きポエトリーラッパー・不可思議/wonderboyさんの楽曲「世界征服やめた」に強く影響を受け、楽曲からインスパイアされて脚本を書き下ろし、自らメガホンをとったショートフィルム。北村とはプライベートでも親交の深い萩原が主人公・彼方を演じ、藤堂が彼方の人生に影響を与える同僚・星野役で出演している。 キャストとしてはもう何度も経験のある舞台あいさつだが、今回初めて監督として登壇した北村。「初めて監督として登壇するのでもっと緊張するものだと思っていたんですけど、すべてが初めての彼(藤堂)がいるので…。緊張する間もなく、彼を慰めてここに来ました」と笑顔を見せ、舞台あいさつ自体が初めてだという藤堂のおかげもあってリラックスして臨めたそう。 監督だけでなく、今作では初の脚本も手掛けている北村。脚本制作については「2021年の3月に『映画を作りたいんだ』というところから話が始まり、プロットから入って脚本がスタートしたんですけど、本当に右も左も分からないので、こんなにたくさん台本、脚本を読んできたのに、いざ自分が書くとなるとすごく難しくて」と振り返る。続けて「ずっと自分の口でしゃべりながら書いてました。役者としての立場に立ちながら脚本を作るという、すごく楽しい作業だったんですけど、本当に難産というか、本当に難しいんだな脚本は…というところから始まりました」と吐露し、“生みの苦しみ”を味わったことを伝えた。 そんな北村監督の脚本について、主演の萩原は「正式にオファーを頂いて、本をもらってビックリしました。(脚本に苦戦している話を)聞いていたときからすると、体感的には『もうきた!』とも思ったし、こんなに早く形になるんだとも思ったし。役者として彼と出会って、現場を一緒にして友達になって。いろんな匠海を見て来たはずなのに全然知らない匠海をいきなり突き付けられるような。『こんなものをどこにしまっていたんだろう…』というのを脚本から感じた記憶がありますね」と回顧。 ■萩原「内側からバコッと自分を出されたような…」 また、脚本を読んでいて自分への“当て書き”だと感じたそうで「たぶん僕に対してというか、僕ありきで書いていた部分もきっとあるのかなって。(普段から)あんなに普通に楽しくしゃべっていたのに、“体の内側”まで全部匠海に見られていたような感覚でした(笑)」と話すと、北村は「見てます。すべてを」と力強くうなずき、萩原は「内側からバコッと自分を出されたような衝撃がありましたね」と照れ笑いを浮かべていた。 さらに、萩原は「自分に当てて書かれているようで、(自分の役を)北村匠海がやっているのも想像できるし、たぶんいろんな役者さんがいる中で、匠海に対して(お互いに)共鳴しているところを感じるんですけど、そこが隅々に脚本から感じられた。匠海もきっとできるけど、だからこそどこかに自分色を刻みたい、表現したいという思いが脚本を読んで沸々と出て来た感じですね」と、あらためて脚本をもらって感じた思いを口にした。 一方、北村監督がその才能に惚れ込んでオファーしたという藤堂は、最初に話をもらったときのことを「冗談だと思った」と社交辞令のようなものだと思い、受け流していたそう。ただ、正式にオファーを受け、脚本を読んだ感想を「北村匠海らしさが出ているなと。匠海くんってかなり温度がある人間だと思っていて、すごく言葉の一つ一つのチョイスがあったかいんです。脚本を見たときにそう感じて、(原案の)『世界征服やめた』の歌詞ともリンクしていて、渾然一体となっているなという印象がありました」と語り、北村の脚本を称賛した。 ちなみに今作は短編映画としては少し長めの上映時間(約50分)だが、最初に書いたのは5分の脚本だったという。北村は「その後にお話がきて、『長編にしてみませんか?』と。次に1時間半の脚本を書いたんです。やっぱり自分って(映画製作の)裏側を知らないから、これがどれくらいの期間と予算がかかるのか分からなかったんです。読んでいただいたとき『これは無理だ』となって。そこから『好きな尺で思いのままに書いてみてください』って言われて…」と回顧し、「そもそも30分の脚本なんです。これを現場で撮り進めていく中で、編集していて気付けば50分になっていた、という偶然の産物。本だけを読むと31、2ページで、大体1ページ=1分(換算)なんだけど、自分があまりにも(カットをかけず)長く回すから…。この2人の空気感が良過ぎて、『こんなん切れるわけないじゃない!』と思って(笑)。5分から1時間半、30分の尺になって気付けば50分。本当に好き放題やった感じでした」と、2人の素晴らしい演技に引っ張られてついつい長くなってしまったと打ち明けていた。 ◆取材・文・撮影=月島勝利(STABLENT LLC)