「えっ、そんな設定あった?」ガンダム作品で衝撃を受けた「得体のしれない超常現象」
■ビームサーベルが巨大化! 逃げる敵を一刀両断
『機動戦士Zガンダム』の主人公機、Zガンダムはオカルトチックな描写が多いことでも有名だ。特に終盤では、死者の力を借りたり、相手の機体のコントロールを奪ったりと、かなりやりたい放題。そんななかで、第49話「生命散って」に描かれたビームサーベルの巨大化現象について振り返りたい。 次々と人が死んでいく最終決戦で、ティターンズのヤザンとエゥーゴのカミーユが激突。戦闘を楽しんでいたヤザンに対してカミーユが激怒し、ヤザンが駆るハンブラビのビーム攻撃を弾くなど、さっそく超常的な力を発揮しはじめる。 謎の光に包まれたZガンダムの不気味さに恐怖を感じたヤザンは逃亡を図るが、カミーユはありえないほどにビームサーベルを巨大化させ、ハンブラビを一刀両断して決着をつけた。 その意味不明な現象に「今のなに?」と感じた視聴者も少なくないだろう。この謎現象は、Zガンダムに搭載されたバイオセンサーと、カミーユの高いニュータイプ能力が引き起こしたものと言われている。実際、カミーユの思念がその攻撃に影響しているような描写があるので、あり得ない話ではない。 というより、後半のたたみかけるようにZガンダムが引き起こす不可解な現象を見る限り、そうとしか説明がつかないといったほうが正しいのかもしれない。
■謎のバリアでビームを弾き、敵機を道連れ
最後に紹介するのは『機動戦士ガンダムZZ』に登場したザクIII改。ネオ・ジオンの将校マシュマー・セロが駆るザクシリーズの後継機だ。ザクIII改は最後に謎の光に包まれ、ビーム攻撃を弾いてみせた。 第45話「アクシズの戦闘」で、マシュマーはラカン・ダカラン率いるスペースウルフ隊と交戦する。単機で善戦するも、機体の四肢をワイヤーのようなもので絡め取られ、絶体絶命のピンチに。しかし、謎の光に包まれたザクIII改はメガ・ランチャーの攻撃を弾き、スペースウルフ隊のMSドーベン・ウルフ1機を巻き込んで自爆した。 これはザクIII改の能力というよりも、強化されすぎたマシュマーの能力というべきなのかもしれない。強化人間が人工的なニュータイプを目指しているのなら、ニュータイプと似たようなことができても不思議はない。 また、クィン・マンサ戦からのマシュマーの戦いぶりは鬼神のごとき強さだった。さまざまな作品に強化人間は登場するが、単純な戦闘能力だけなら、このときのマシュマーがトップクラスではないかと思わされたほどだ。 そしてマシュマーの最期のセリフ「このマシュマー・セロ! 己の肉が骨から削ぎ取れるまで戦う! ハマーン様、万歳!」を聞いたとき、当時の筆者は恐怖に近いものを感じたのを覚えている。 『機動戦士ガンダム』の宇宙世紀作品は、シリーズが進むにつれてニュータイプという能力が深くかかわってくるようになる。超常的な現象が発生するのも、このニュータイプと呼ばれる存在が関係する場合がほとんどだ。 カミーユやマシュマーは、ニュータイプという能力や存在に翻弄された人物である。そうなると、ザクレロのパイロットだったデミトリーもあるいは……というのは暴論かもしれないが、そのような世界線があっても面白いのではないだろうか。
津田まさき