掛布が語る2013年の野球界10大ニュース
■ルーキー投手たちの活躍 本来ならば、飛ぶボールに変わったことで投高打低から投低打低に変わってもおかしくなかったが、ルーキーの投手が輝いたシーズンだった。新人王を奪ったヤクルトの小川、楽天の則本、我が阪神の藤浪に巨人の菅野と、揃いも揃って好投手が1年間、ローテーションを守って結果を出した。彼らに共通しているのは、球持ちの良さと低めへのコントロールの意識が高いことである。1球1球丁寧に投げる。小川、則本、藤浪はリリースポイントが前にあるので、打者は、スピードと球威を感じることになる。菅野は低めへの変化球の制球が良かった。藤浪にはバラつきがあったが、低めへの意識は随所に見られた。また彼らは、偶然にも全員右腕だが、実績を持った左の好打者が少ない(特にセ・リーグに)こともプラスに働いたのだと思う。 ■二刀流、日本ハム・大谷 ルーキーでは、日ハムの大谷の二刀流が注目を浴びた。彼の能力の高さと、その努力は十分に理解している。その上で、あえて私はチームに与える悪影響が気になり、コラムにて苦言も呈した。来季も二刀流を投手に比重を置きながら続行することをメディアを通じた耳にしたが、私は投手としてナンバーワンを狙って欲しいと思う。160キロを投げる日本人投手はいないのだから、最速を目指してもいいのではないだろうか。 ■球界を支えたベテラン勢の引退 若い選手の躍動の一方で、ヤクルトの宮本、広島の前田、中日の山崎らの個性を持ったサムライのような選手が球界を去った。一昔前なら、彼らはもっと早くユニホームを脱いでいただろう。私はアラフォーと呼ばれる選手が、今なお前線で活躍していることに目がいく。中日の山本昌もしかり、横浜の三浦にしても40歳だ。科学的なトレーニングの発展と、彼らの努力と飽くなき探求心が選手寿命を延ばしているのだと思う。ただ、同時に若手の突き上げが少ないこともアラフォー選手が増えている背景にはある。