東北の野球少年が国際大会で準優勝 海外での挑戦でつかんだ「生きる力」
プエルトリコで銀メダルを受け取った日本チームの少年ら(色川冬馬監督提供)
プエルトリコで7月から8月にかけて行われた13歳以下の国際野球大会「ラテンアメリカ野球選手権」に、東北の少年・少女たちで構成された日本チームが出場し、準優勝を果たした。大会への出場は、パキスタン代表監督の色川冬馬監督(25)が企画。8月中旬に一時帰国した色川監督が、国際大会を経験したこの夏の野球少年たちの成長を報告した。 ラテンアメリカ野球選手権は、毎年夏に13歳以下のチームを対象に開かれている国際野球大会。8回目となる今年はプエルトリコで開かれ、中・南米を中心とした8カ国10チームが参加した。
仙台市出身の色川監督は昨年13歳以下の野球少年でつくる宮城県選抜を編成し、日本代表として大会に初出場。結果は予選リーグ敗退だった。今年は「東北選抜」を編成して挑んだところ、各国代表級チームを相手に次々と勝ち進み、決勝で地元プエルトリコに敗れるも見事準優勝に輝いた。 大会への渡航費は自己負担となるため、色川監督自らが宮城県の民間企業を数十社回ってスポンサーを募り、子供たちのために約600万円の渡航費用を集めた。大学在学中に単身渡米し、アメリカなどのマイナーリーグで活躍した経歴を持つ色川監督。少年たちを国際大会へ連れていくことで、「海外の全く異なる環境でさまざまな体験をすることにより、中学1年というこの時期に『生きる力』を身につけてほしかった」とその意図を話す。
色川監督は、「野球以上に、子供たちには『自分で考え問題を解決する』という経験をしてほしい」と、プエルトリコ遠征の強化練習では、自分の意見を言う議論の訓練や英語などの教育も行った。例えばある講義では、松井秀喜選手の5打席連続敬遠を例に、子供たちをグループに分け、勝つためにはどんな手段も取っていいのかという「モラルジレンマ」について議論させた。正解のないその問いを、子供たちが自ら考え意見を言うことで、自分の頭で考える力を育むのが目的だ。