「トイレが本当にもう…」声落とす女性「トイレの臭いが嫌で、飲まず食わずの被災者が現れる」震災関連死リスク心配、あふれるトイレ問題【石川県能登半島地震:取材リポート】
自宅が全壊した夫婦に、「いま一番困っていることは何でしょうか」と聞く。妻が即答する。「トイレ。ここには簡易トイレが設置されていない。トイレが本当にもう…」と声を落とす。地震発生まもない避難所には、被災者の気持ちを折りかねない、深刻なトイレの問題が立ちはだかっていた。 【画像を見る】被災地トイレの深刻な問題 段差を上がれない高齢女性もいらっしゃった
「衛生的に不安」の声高まる避難所
私は1月2日から5日にかけて石川県輪島市などで取材しました。避難所にはまだ十分な物資が届いていない状況でした。 ほぼ全域で断水した輪島市では、トイレの水が早々に流れなくなってしまっていて、3日輪島市内の公共トイレでは、便やトイレットペーパーが便器からあふれ出ている状況でした。話を聞いた避難者の多くも、「トイレに困っている。衛生的に不安」と声をあげていて、ボックス型の仮設トイレや、組み立て携帯型の簡易トイレが、一刻も早く求められる状況でした。
待望の仮設トイレだが、問題点もあった
一方で、仮設トイレの問題点も目にしました。避難所の一つ、輪島市ふれあい健康センターでは、3日時点で仮設トイレが設営されていましたが…。トイレに入りたくても入れない高齢女性がいたのです。 女性は足が不自由で、トイレに入るための数段の段差を上がることができませんでした。私が補助して女性はようやくトイレを済ますことができました。 被災地が抱えるトイレの問題。大阪市で仮設トイレを製造する会社「ビー・エス・ケイ」に聞きました。同社は経済産業省から要請を受けて、珠洲市と輪島市の避難所に仮設トイレ10棟を設置。さらに携帯トイレ10万回分の発注を受けて、石川県に出荷したということです。
トイレの臭いが嫌で、『飲まず食わずの』被災者がいる
株式会社ビー・エス・ケイ代表取締役 三谷彰則さん「災害関連死を予防するためにも、リスクを減らすためにも、命を守るためにも、”使える”トイレを増やした方がいい」 三谷社長によりますと、トイレは、被災者の健康に影響を及ぼす可能性もあるといいます。 三谷彰則さん「被災地のトイレの臭いが嫌、などの理由で、被災者に『飲まず食わず』がまんなどが発生する。」「和式トイレやと、お歳を召された方や、足腰が悪い方が、そのまま便座に座ってしまう。そこから感染症になってしまうことがある。」