Skateboarding Unveiled vol.7 ~スケートボード写真の「ちょっと違うんだよなー」感~
今にも1回転し終わるタイミングなので、一見どんなトリックなのか分かりづらい人もいるかもしれない。 だが、「トリックのピークを押さえる」という暗黙のルールに従うと、実はこちらの方がふさわしいのだ。 その理由として注目してほしいポイントは足とボードの位置。 上の写真は前足で擦り抜いた直後になるので、ボードが裏返ってはいるものの、まだ跳ね上がっている途中で、前足も上方に擦り抜いたまま。後ろ足も引き上げている途中になる。それなのにピークというには無理があるだろう。その1テンポ前といった方が正しい。 対して下の写真は、ボードがほぼ回りきる瞬間ながら、両足を引き上げながら前方へ突き出し、ボードを捉えようとしていることがわかるし、1テンポ前と比べても高い位置にあるので、高さも最高潮を迎えている。 この技はハンドレール(手すり)を跳び越える瞬間が醍醐味なので、それであればボードも人間も最も高い位置にある瞬間をピークと見るのが妥当だろう。 でも、「このタイミングでは何のトリックかわからない」という人もいるかもしれないので補足しておくと、 「前足のスナップを効かせて背中側前方に擦り抜き、写真から見て反時計回りにボードを1回転させたところを両足でキャッチする」というキックフリップの動作を正確に把握できているかが重要になってくる。 そこを完全に理解していると、ピークの写真はどう見えるだろうか。 前足は背中側前方につま先を突き出したような構えになっているので、前足のスナップを効かせて背中側前方に擦り抜いた直後だとわかるし、反時計回りに回転するボードの軌道がわかっていれば、この後右側が上がってきて真上から捉えにきている両足に収まるんだなということが推測できる。そうやって成功している姿が想像できるからこそ、下の写真が”ピーク”となるのだ。
他の技を組み合わせるとどう見える⁉
では「他の技だとどう見えるの⁉︎」という人もいるかもしれないので、キックフリップバックサイドテールスライドという複合技でも見てみよう。 これは上記のキックフリップに加え、背中側にある対象物にテール(ボードの後端)を掛けるバックサイドテールスライドという動作も加わった非常に難易度の高いトリック。そこでボードが裏返っている瞬間はどうなっているのか見てみよう。 ボードが対象物のレールよりもかなり低い位置にあるのがわかるだろう。 これではどの部分を掛けようとしているのかがわかりづらいだけでなく、ここまで距離が離れていると対象物にボードが届かずに失敗しているようにも見える人もいるだろう。冒頭の「なんか技に失敗してるみたい」の意図はここにあるのだ。