元三井物産の数億トレーダーが日経平均、5万、7万と上がる可能性を指摘!でも、”株価暴落して喜ぶ”ワケ
日経平均株価最高値更新もその後大きく反落するなど、乱高下が続く株式市場。そんな中にあって元三井物産社員で投資歴22年の億トレーダー紫宝(しほう)氏は、「どんな相場でも一喜一憂しない」と話す。みんかぶプレミアム「1ドル200円時代のサバイバル」第3回では、相場環境や今後のリスクをどう捉えるべきかについて、紫宝氏にうかがった。
悪決算も「嬉しいサプライズ」
昨年から比べれば、日経平均株価はまだかなり高値圏にあります。ただ私は前提として、相場はあまり気にしていません。それはじっくりと研究して「長期的に見れば必ずこの企業の業績はよくなるはずだ」と思える銘柄を買うので、株価がどうなろうが10年スパンで保有していることが多いからです。株価に一喜一憂していたら、とても長期保有はできません。 私が実践しているのは、「株価が落ちたときにも上がったときにも喜べる投資手法」です。株価が上がって嬉しいというのはわかりやすいと思います。ですがその企業の価値を信じてさえいれば、株価が下がれば下がるほど安く買い増せるわけですから、やっぱり嬉しいのです。 決算前後で売買する個人投資家も多いと思いますが、私の場合、決算前に売ることはまずありません。すべて持ち越しです。決算を事前に予想することもありませんし、翌朝のニュースを見てはじめて決算内容を知ることもあります。ただたとえ決算内容が悪くて株価が暴落したとしても、その暴落は私にとっては“嬉しいサプライズ”といえます。
「少しの含み損」が一番いい理由
私は、「少し含み損の状態にあるぐらいが一番いい」と思っています。少しくらいの含み損であれば、そこまで精神的な負担もなく、取得単価より少し安い状態で買い増し続けられますよね。そこである日増配が発表されれば、たいていの場合株価が上がり含み益が増え、配当によるインカムゲインが得られます。あまりに上昇すれば、売却してキャピタルゲインを得る選択肢もあります。 株価が下落したときに喜べる株じゃなければ、持っている意味がないとすら思います。私の場合、たとえ超主力株として保有している三菱商事の株価が明日8割下がったとしても、喜べる自信があります。超主力株や主力株については、それだけ信頼できる銘柄を厳選しているのです。 たとえば、一流企業勤務で高給取りの夫がある日突然クビになったとします。しかも専門性が強すぎて、ほかの仕事では月収20万円くらいしか稼げない。でもクビになったとしても、本人の性格も能力も何も変わってはいませんよね。単にお金が目的であれば、夫との関係はそこで終わってしまうかもしれません。でもその人格に惚れこんでいれば、ちょっと問題が起こったからといって「これで終わり」にはならないはずです。 株もまったく同じです。長い付き合いの中では、何か問題が起こるかもしれません。それでも信頼して持っていられる銘柄を選ぶべきなんです。もうどうにも手がつけられないような問題が起こってはじめて、「見る目がなかったな」と切ればいいのです。 このように言うのは簡単ですが、自分が選んだ株をここまで信じることは、実はなかなかできません。多くの人が、信じ切れずに途中で利確や損切りをしてしまいます。ですが、“ほかの人ができない”からこそやる価値があるのです。というのも、投資で儲けられる人は、割合でいえば1割ほどにすぎません。ほかの人たちと同じことをしていれば、その1割にはなれないのです。