「あれは本当に悔しかった…」ファンの言葉に葛藤した“闘う女優”青野未来が、女子プロレス新団体のエース候補になるまで…再会したい“4人のレスラー”
業界最注目団体の“主役候補”に
マリーゴールドでグラウンドなど基礎から練習し直して、新人時代を思い出した。「やっぱりこれだな」と感じたそうだ。久しぶりにやってみたエクスキューズなしのプロレスは、ビックリするほど楽しかった。旗揚げ戦、後楽園ホールを埋め尽くした超満員の観客には圧倒された。 ただプロレス界に戻ってきただけではない。青野未来は業界最注目団体の主役候補に躍り出たのだ。「楽しい」だけで満足するわけにはいかないと感じるようになった。 「大事なのはマリーゴールドにきたことではなくて、マリーゴールドで何ができるか、どこまで輝けるか。ベルトも狙いたいです。今はケガで欠場してますけど、ジュリアさんとも闘いたい。実は同期(同じ2017年デビュー)なんです。凄い選手だなと思うし、それだけにジェラシーもあります。 マリーゴールドには体の大きい選手、パワー系の選手が多いのも意識します。私もアクトレスガールズではパワーファイターだったんですけど、それだけでは勝っていけないでしょうね。もっとパワーをつけるか、スピードでも勝負できるようにするか。考え時です」 役者という軸を持ちながらプロレスラーとしても活躍するのが理想だったというが、今はプロレスに集中したほうがいいかもと考えるようになった。もっと実力をつけて、プロレスラーとしての夢を叶えていきたい。
青野未来が再会したい“4人のレスラー”
リング上で再会したい人もいる。 「元アクトレスガールズの選手、たとえば(安納)サオリさんとかなつみ(なつぽい)さん。なつみさんは私のデビュー戦の相手なんです。タッグパートナーだった関口翔さんともまた組みたいし、川畑梨瑚ちゃんも。デビュー戦の相手が私で仲がいいんです」 マリーゴールドは「基本的に鎖国」(ロッシー小川)というスタンス。他団体の所属選手と交わるのは、今は簡単ではない。ただプロレス界に“絶対”はない。「リングに上がっている限り、どこかでつながってくる」とも言われる。 「前いた場所よりは、みんなに近いところに来れたと思ってます。それが嬉しくて、もっと頑張らなきゃと。みんな成長してるし、私も成長しているはず。いつか会えるのが楽しみなんです」 新日本プロレスの棚橋弘至やプロレスリング・ノアの丸藤正道のように、青野には何があっても誰が抜けても団体に残り、内部を支える人間だというイメージがあった。 その青野が動いた。動くこと自体が、なりたい自分になるのだという激しい自己主張だった。林下やジュリアとのシングル対決は、そう遠くないうちに実現するだろう。かつての仲間との再会だって期待していいはずだ。 「いま決断して本当によかった」 そう言って青野は相好を崩す。悩んで、苦しんで、我慢して、いま彼女は満員の会場で存分にプロレスを堪能している。アクトレスガールズ新体制での苦闘を取材してきた者として、青野の決断を心から祝福したい。
(「濃度・オブ・ザ・リング」橋本宗洋 = 文)
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