「自閉症の息子が将来働ける場所」を 女流雀士・茅森早香が抱く母としての思い クレープ店を始めた理由
麻雀プロリーグ戦・Mリーグの女性雀士に思いを聞く本企画に茅森早香(セガサミーフェニックス)が登場。2001年に19歳でプロとなり24年目を迎えるベテランが、大きく様変わりした麻雀業界や、都内でクレープ店を経営するに至った経緯などを語った。 -麻雀を始めるきっかけは“ウエイトレスのアルバイト募集と思って勤めたのが雀荘だった”とのこと。麻雀の知識はあったのか。 「ありました。麻雀自体は、小さい時に親戚がやっているのを見たのが初めてでした。その後は兄が持っていたファミコンの麻雀をやってみたり、高校生の時に男子がみんなやっていて、そこで少し教えてもらったりしたので、並べ方などなどは知っていました。そのバイトの面接が、ウエイトレスではあるもののテストみたいな感じで、一般教養や確率の問題もあって不思議だったんです。その後、面接に受かりましたという連絡を頂いた時に、初めて雀荘だということを知りました」 -そこからルールを覚えて、麻雀の魅力にはまっていった。 「自分でハマっていったという感覚はないですが、アルバイトをしながら週5ぐらいで毎日のように麻雀をしていました。店長が麻雀プロだったこともあり、勧められて気づいたら私もプロ試験を受けていました。本当に何も考えずに…19歳でプロになりました」 -それが2001年。当時からは麻雀業界も大きく変わった。 「変わったところは…まずは若い女性雀士がたくさん増えたというのと、他の業種からプロになる方が増えましたね。Mリーグならアイドルや声優、俳優…私が所属している団体でも医者や弁護士の方など、いろいろな業種の方がいます。他のお仕事をしながらでもプロの団体で活動できるように日程を組むということはできるようになりましたよね。さらに感じているのは、私がプロになったころはテレビで麻雀の話はあまりされていなかったと思うんです。しかし今はMリーグができたということもあって、そうではなくなってきた。あとはオンラインゲームで気軽にできるようになったことも大きいかなと思っています」 -母とMリーガーを両立する苦労とは。 「私は出産した年にMリーガーになったんです。誰かに助けてもらわないと大変だったので、親に相談しました。今はMリーグがある時は、親か旦那のどちらかが子どもを見てくれています。うちの子は今小学生ですが、朝学校まで送っていくのが少し大変ですね」 -都内でクレープ店を2店舗経営しているが、そのきっかけは。 「もともと、旦那が被災地などにも出向けるようにキッチンカーで何かをやりたいという話をしていたことから始まりました。そこから最終的にクレープをやろうということになったんです。勉強のためにいろいろなクレープのお店で食べていたら、ジラフクレープがすごく気にいって、社長とお話していたら店舗を持ってほしいという話になって始めました。あとは“自閉症の息子が将来働ける場所があるといいね”と旦那と話していたので、ちょうど良かったと思っています」 -我が子についてSNSなどで話す場面も。 「ライブ配信などで映り込むこともあるので、お伝えしておいたほうがいいかなと思って、全部お伝えするようにしています。私のYouTubeのファンクラブに同じ年ぐらいの自閉症のお子様がいる方が入っていて、情報交換をすることもあります」 -最後にファンの方へのメッセージを。 「2年続けてレギュラーシーズンで敗退して、ファンの方も私たちも悔しい思いをしているので、今年こそファイナルに行って皆様に笑顔を届けたいなと思ってます。チームは調子がいいので、引き続き応援よろしくお願いします」 ◆Mリーグ 優勝賞金5000万円を9チームで争う。1チーム男女混成の4人で構成。レギュラーシーズンの上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。さらに上位4チームがファイナルシリーズに進み、優勝を目指す。ABEMAで全試合無料生中継中。 ◆茅森早香(かやもり・さやか)北海道出身。セガサミーフェニックス所属。2001年に最高位戦日本プロ麻雀協会に所属しプロデビュー。Mリーグ開幕初年度の18年にMリーガーとなる。19年9月にはYouTubeチャンネル「さやチャンネルω」を開設。さらに23年10月に新宿にクレープ店『ジラフクレープ』をオープン、今年7月には代官山に2店舗目をオープンするなど、活躍の幅を広げている。一児の母。