デビューから19年210日での初Vへ 42歳・上井邦浩が自身11回目の最終日最終組「いいゴルフをしたい」
<カシオワールドオープン 3日目◇23日◇Kochi黒潮カントリークラブ (高知県)◇7350ヤード・パー72> 石川遼さん、人気ものですね【写真】 賞金シードが決着する大一番。賞金ランキング95位(424万8000円)の上井邦浩がここに来て善戦を続け、首位と1打差の3位タイに浮上。初優勝が期待されて十数年、42歳の上井は昨年の「日本プロゴルフ選手権」以来となる最終日最終組に名を連ねた。 2005年にプロ転向した上井は、300ヤード級のドライバーショットとショートゲームを武器に2008年に初シードを獲得。これまで最終日最終組に10回進出し、5度の2位を経験しているものの、優勝にはあと一歩届いていない。20代の頃には「次世代の選手」として注目されたが、気がつけば40代になった。 今大会は主催者推薦での出場。「試合が始まる前に腰が『大丈夫かな』という感じでしたが、何とかもっている。ゴルフの状態は悪くない」と語る。プロアマ戦の時点で腰に不調を抱えていたが、ここまで全ラウンドで60台を維持している。特に3日目は強風が吹き荒れるタフなコンディションだったが、「距離が合わなかったりで、すごくイライラしましたが。我慢できた」。イーブンパーで耐え抜いた前半から、後半は「-3」と流れを引き寄せ、納得の一日を終えた。 今季はこれまで13試合に出場し、6試合で決勝ラウンドへ進出。最高位は9月の「ANAオープン」での19位タイだった。前戦の「ACNチャンピオンシップ」から約1カ月半のブランクを経て臨んだ今大会では、初日から好調を維持している。「なんですかね…」と困惑気味の表情を見せつつ、「スイングがよくなった」と話す。首のヘルニアに悩まされてきたが、首に負担の少ないスイングを模索する中で、“最適解”が見え始めている。飛距離は多少落ちたものの、痛みの少ないスイングで安定感を取り戻しつつある。 22年以降、賞金ランキングによるシード権を逃している上井。今季もランキング上位65位(義務試合数不足の選手を除く)がボーダーラインとされるなかで、現在“圏内”には達していない。シード復帰のチャンスが巡る状況に、「そんなの気にしてこないですよ」と冷静。「11月まで400万円しか稼いでいないのに、そんなこと言えない」と皮算用はせず、この大会で結果を出すことだけに集中している。 もし優勝となれば、05年「中日クラウンズ」でのツアーデビューから19年210日目での初優勝となる。これは、プロ転向後のデビュー戦から初優勝までにかかった日数として、野仲茂(17年94日)を抜き史上最長となる。それでも、「そこも全然、意識していないです。ギャラリーの方も多いし、いいゴルフをしたい」とベテランらしい落ち着き。最終日、上井にどんなドラマが待っているのか。高知決戦から目が離せない。(文・齊藤啓介)