「大島さんはおいしい野菜が手に入った時に…」映画ポスターを“リデザイン”したヒグチユウコと大島依提亜の“出会い”
『映画とポスターのお話』(白泉社)は、画家・ヒグチユウコさんとアートディレクター・大島依提亜さんの対談と、手掛けたオルタナティブポスター(※映画作品をテーマに、アーティストがリデザインしたアートポスター)をまとめた一冊です。 【画像】『ミッドサマー』のオルタナティブポスター (『映画とポスターのお話』より 絵/ヒグチユウコ デザイン/大島依提亜) ヒグチさんに、対談連載のきっかけや大島さんとの出会い、興味を持っている映画監督について、メールインタビューでお聞きしました。(インタビュー【前篇】を読む)
コロナ禍の対談スタート。対面で集まる機会は少なく
――対談相手の大島依提亜さんとは、2016年に映画に関わるお仕事でご一緒してからの縁だそうですね。最初にお会いした時の印象は、覚えていますか? ヒグチ 実はあまり記憶になくて。私自身が人の顔を覚えるのが少し苦手だということも関係しているかもしれません。それは大島さんも同じなのか、お互いに別の人と勘違いしたまま何故か会話が成立していたこともあるんです。後から横にいた友人にお互いに間違っていることを指摘されました。今思うと、間違えようがないくらい印象的な人なんですけどね。不思議です。 大島さんは料理がお好きで、おいしい野菜が手に入った時に「こうやって食べるといいよ」と勧めてくれるんです。けど、私は料理というものがとても苦手で。それを言ったら、一度作ってきてくれました。また食べたいです。 ――対談連載は、2020年から『月刊MOE』(白泉社)で始まったそうですね。その時にヒグチさんから希望したことはありますか? ヒグチ 対談に関しては、どのライターさんに入っていただくか、わがままを言いまして示させていただきました。その方に打診すべく連絡をした記憶があります。 ――ライターの小倉倫乃さんですね。対談時に必ず持参したものはありますか? ヒグチ 実は対談の第一回目からコロナ禍に入ったので、実際に顔を合わせて集合できたのはとても少なかったんです。ただ、対談の打ち合わせなどでは、アナログ手帳、絵を描く道具をいつも持ち歩くようにしています。 ――連載を通して印象的だったことや、困った出来事はありましたか? ヒグチ 印象的なことも困ったことも多々ありましたが、やはりいつも困ることは、私自身の思い入れの強さよりも、完成した作品の質が下回ってしまうことです。 あと、これは何と表現したらいいか悩みますが、絵をアップした時の読者からの反応は、やはり白人がメインの映画に偏る傾向があると思いました。今回取り上げた作品自体の偏りももちろんあったとは思いますが、反応の差にちょっとびっくりしました。 もしかしたら単に邪推で、私の作品の魅力が足りなかっただけかもしれませんけど。