レクサス RX450hは、見た目だけでなく走りも大幅に進化した【10年ひと昔の新車】
レクサス RX450h(2012年:ビッグマイナーチェンジ)
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、レクサス RX450hだ。 【写真はこちら】リアコンビランプもL字型LEDクリアランスタイプに変更され、次世代レクサスのアイデンティティを強調している(全9枚)
エクステリアはスピンドルグリルが配されたことで、これまでのちょっとノーブルな佇まいから、かなりアグレッシブになった。それに合わせてリアコンビネーションランプも形状が変わりスポーティになった。GSから導入された空力に絶大な効果があるとされる例の“おさかな”形状のフィンも巧みにこのランプに組み込まれている。 変わったのは外観だけではない。ボディ剛性も見直されている。リアドア下部開口部のスポット溶接の点数増し、リアフロアとリアホイールアーチのスポット溶接増し、フロント リーンフォースメントの付け根を強化するなど、目に見えないところで大きな変更が加えられた。 これに加えて新たにラインアップされたFスポーツでは、前後にレクサスCTで採用されたパフォーマンスダンパーを装着し、リアスタビの取り付け部にブレースを追加するなどで強化している。RXの走りはこれまでもかなりしっかりしていて、安心感の高いSUVであることが特徴だった。今回、さらに車体の強化で大幅なポテンシャルの強化を図ることになった。 また、今回の改良で遮音性がかなり向上している。これまでリアからわずかに入っていたロードノイズも相当遮断されている。これは速度が上がっても変わらなかった。これだけでも、新型RXが質的にレベルアップしたのがわかる。
高速ツアラーとしても完成度が高まった
高速域で感じたのは直進性の向上だ。Fスポーツの電動パワーステアリング(ESP)はキビキビ感のある方向にチューニングされているが、GS同様にむやみとステアリングセンターが締められていないので、ちょうど良い保舵感を得ており、左右に切り返す時でもごく自然なフィーリングが提供されている。ちなみにFスポーツ以外の車両では、もう少し穏やかに調整されているという。 VDIM(統合車両姿勢安定制御システム)の制御も、車体剛性の向上、ダンパーの変更(オイルの粘性を変えて、フリクションを低減)、ESPのチューニング変更に伴って変えられている。VDIMが介入するようなドライビングシーンには会わなかったが、従来とほぼ同じ挙動制御をするようにチューニングを最適化している。 高速域では乗り心地の向上にも驚いた。これまで大きなジョイント路などではリアからのショックがわずかに入っていた。また高速コーナリング時ではわずかな姿勢変化を感じたものだったが、新しいRXはバネ上の動きがスッキリと収まっており、235/55R19という大きなタイヤでもバネ下は暴れない。 またハンドリングはライントレース性に優れている。大きな車体にもかかわらず、狙ったラインを一回の操作でピタリとトレースできる。もはやSUVの動きではない。アーバンライナーだけでなく高速ツアラーとして完成度が高まったことを強く実感することができた。