調査でわかった「読書で得られる効果」 読み聞かせのコツを専門家が紹介
「国語力をつけてほしい」「知識の幅を広げてほしい」など、お子さまに本に親しんでほしいと願うかたも多いでしょう。子どもの読書習慣には保護者のかかわりも重要なポイント。読書の効果や、保護者のかたのサポート法について、東京大学とベネッセ教育総合研究所による調査(※1)の結果と、自身も3人のお子さまに延べ6,000冊の読み聞かせを実践し、読み聞かせや育児について保護者や企業、自治体向けに数多くの講演を行う安藤哲也さんからのアドバイスをご紹介します。
読書で得られる効果は?
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が行った共同調査(※1)によると、中学生までは読書時間が長いほど、成績上位者が多いことがわかりました(図1)。また、読書は、社会への関心や、自分への自信、将来の目標があるといった特性とも相関があるとの結果に(図2)。
あくまで相関であるため、読書をすれば成績が上がると断定できるわけではありませんが、本を読んで多様な世界に触れることや視野を広げることが、想像力や思考力を高めることに関連しているといえるでしょう。 安藤哲也さんも、読み聞かせや読書がコミュニケーションや豊かな感情体験につながることや、海外の絵本などで、見たことがない世界を追体験し、広い世界を知ることができる点を指摘。 本を読むことで、学力(認知能力)だけでなく、内面的なスキルである非認知能力を高めることも期待できそうです。
保護者が子どもの読書習慣へ与える影響は大きい
子どもの読書習慣の形成に保護者のかたのかかわりが大きいことも、調査から明らかになっています。蔵書が多い家庭や、保護者のかたが本を読む大切さを伝えている子どもほど、読書時間が長い傾向に(図3、4)。
読書に親しみやすくなる環境を用意することや、保護者のかたの働きかけが読書習慣づくりに影響があるといえるでしょう。
また、小学校入学前に読み聞かせを受けた子どもは、その後の読書時間も長いことがわかりました(図5)。週4日以上、読み聞かせを受けていた子どもたちは、週1日未満だった子どもたちと比べて、中学生までずっと1.5~2倍の読書量を保っています。 読み聞かせを行うことによる読書習慣への効果は、中学生まで長く続くといえるでしょう。