袴田巌さん再審あす判決~判決のポイントは・白鳥衛記者
①無罪判決がでるのかそれとも死刑判決がでるのかという点
・やり直しの裁判を始めるに当たっては 「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠が発見されたとき」という理由が必要。 ・また、これまでに死刑が確定した後に再審が行われた4つの裁判では、いずれも無罪が言い渡されているため、今回も袴田さんに無罪が言い渡される公算が大きいとみられる。
②5点の衣類の血痕の色について。
・5点の衣類は事件から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから見つかり、これまで犯行着衣とされてきた。 ・これまでの裁判で弁護団は実験結果などをもとに「1年以上みそに漬けられた血痕に赤みは残ることはなく黒くなる」と主張。 ・そのうえで5点の衣類は発見直前に捜査機関がみそタンクに隠し捏造したと主張しています。 ・一方、検察側は「1年あまりみその中に入っていた衣類に赤みが残る可能性はある」と主張し、証拠に捏造については「事件前に袴田さんが着ていたものとよく似た服を用意して タンクに入れるのは想定しがたい。非現実的で実行不可能な空論」と主張しています。 ・やり直しの裁判が始まるに当たっては、静岡地裁と東京高裁ともに「捜査機関がねつ造した可能性がある」として再審を決定していえて、あすの判決で静岡地裁がどう判断するか注目される。
③捜査機関への批判
・袴田さんは逮捕後、1日平均12時間を超える過酷な取り調べを警察から受けてきた。 ・取り調べ中トイレに行かせてもらえなかったり、取調室に便器を持ち込まれたりしたということもありました。 ・裁判でも警察が作成した袴田さんの自白調書は証拠から外されていて、判決で静岡地裁が警察の長時間の取り調べや5点の衣類の捏造について言及し、批判するのかどうかにも注目される。
④裁判所の謝罪
・2010年に開かれた足利事件の再審公判の判決では、一審で無期懲役の判決を受けた被告の菅谷利和(すがや・としかず)さんに対し、無罪判決が言い渡されました。その際、裁判官が菅谷さんに対し「自由を奪う結果になったことを裁判官として申し訳なく思う」などと謝罪をした前例があります。 ・あすの判決で袴田さんに無罪が言い渡された場合、48年こう留された袴田さんに対し、静岡地裁が謝罪をするかどうか注目される。