無死満塁の大ピンチを、全球ストレート勝負で三者凡退!高校時代、公式戦登板0だった名城大の右腕が、打者を力でねじ伏せる姿が凄すぎた…<準硬式・全国大会>
<文部科学大臣杯第76回全日本大学準硬式野球選手権大会:名城大4-3関西大>◇25日◇2回戦◇さがみどりの森県営野球場 【一覧】25日の試合結果 大学準硬式の日本一を決める文部科学大臣杯第76回全日本大学準硬式野球選手権大会。25日から2回戦が始まっており、名城大が関西大に4対3の接戦の末に勝利。2年連続でベスト8進出を果たした。 1対2のビハインドから名城大の4番・清水 友睦外野手(2年=愛知産大三河出身)のホームランなどで逆転に成功。指揮官・樋口義博監督いわく、チームにとっても柵越えのホームランは、清水の一本が初めてということで、一気に流れに乗った。 ただ全国の舞台は甘くなく、4対3で迎えた7回には無死満塁の大ピンチを招く。関西大に流れがほとんど傾きかけていたが、ここで樋口監督がマウンドに送った4番手・石川 将汰投手(3年=星城出身)がゲームチェンジャーとなる。 関西大7番・日高 涼汰外野手(4年=三田学園出身)は浅めのライトフライ。続く8番・福永 翔太捕手(4年=光泉カトリック出身)はセカンドフライ。最後は代打・柳澤 颯外野手(2年=京都外大西出身)を空振り三振。一打逆転のピンチで、石川は140キロを超えるストレートだけでねじ伏せ、むしろ名城大に流れを持ってきた。 その後、ダメ押しの追加点は入らなかったが、石川が反撃の隙を見せず、チームをベスト8に導いた。 「抑えることで精一杯でした」と7回の第ピンチの場面を笑顔で振り返る石川。ただこのとき、自己最速を更新する142キロをマークしたとのこと。極限の場面で120%の力を発揮できるタフなメンタルを含め、リリーフ適性はもちろん、勝負の世界に生きるアスリートの片りんを見せた。そんな強心臓ぶりだが、星城時代から持っていたわけではないという。 「星城で3年間野球をやって、公式戦で登板した実績はないです。ベンチ入りも、最後の夏はチャンスがありましたけど、ギリギリダメでした。当時は調子が上げていたので悔しかったんですけど、先生方からは『お前は大学から伸びるよ』と言ってもらえていたので、勉強と両立できる準硬式を選びました。 だから、高校時代はかなりビビっていたと思うんです。けど大学2年生からはピンチを火消しする役割を、指導者からもらいました。周りの投手陣を見てもそうですし、自分ならできると期待してくれているからだと思うので、普段から自覚して練習しています」 この試合も、あまり緊張で舞い上がることなく、「真っすぐに自信をもって真ん中に120%で投げろ!」という今村圭佑コーチの言葉を胸に、気持ちで打者を圧倒した。 星城時代は控え投手だったにも関わず、現在はこれだけのパフォーマンスが出来るまで成長できたのは、大学で体重とフォームの見直しができたからである。 「大学からは自主練習が増えましたので、個人的にスポーツジムに通ってトレーニングを上半身中心にやっていて、体重も8キロくらい増量しました。ただ球速向上に生かせるようにしたかったので、途中でシャドーピッチングを入れたりしながらやっていました。 そのうえで、ピッチングフォームは下半身の使い方を覚えました。軸足の使い方、踏み出す足でブレーキをかけることを覚えたことで、スピードアップに繋がりました」 星城時代は130キロが出るかどうか。そこから142キロまで、およそ15キロ前後のスピードアップ。チームの主力投手へ成り上がった。日本一まではあと3勝だが、今後も石川の活躍は期待せざるを得ないだろう。