代表デビューの異色198センチGKシュミット・ダニエルが海外移籍熱望!
初めて日の丸を背負った16日のベネズエラ代表戦。ファンやサポーターの関心を集めたのが、味方へ繰り出された正確なフィードだった。何度も攻撃の起点になった一方で、ほとんどのキックが山なりの軌道を描いていた点を直撃すると、シュミットからこんな言葉が返ってきた。 「理想を言えば、もうちょっと低い弾道で蹴れればいいんですけど。もっと練習して、もっと短い時間で味方へボールを届けられるようにしたい」 低くて速いボールをピンポイントで蹴ることができれば、高さで相手より劣ることの多い日本人選手が空中で競り合う必要もない。相手のプレスを瞬時にしてかいくぐる形になるので、カウンターの起点にもなる。プレミアリーグを席巻するモラレスのキックに近づくことが、夢に近づく手段にもなる。 もっとも、キックにはこだわり続けるものの、思い描く完成形になるために必要なすべてではないといまでは考えている。 中央大学へ進んだ2010年から3シーズン連続で、JFA・Jリーグ特別指定選手として川崎フロンターレに登録された。そのときに指導を受けた育成年代のエキスパート、キーパーコーチの澤村公康氏と2015シーズンに期限付き移籍したロアッソ熊本で偶然にも再会したことが転機になった。 「自分のなりたいキーパー像について、熊本へ行ったときにいろいろと話し合いました。それに向かって、いまはやっていきたいと思っているので」 こう語ったことがあるシュミットは、キックに偏っていた考え方が変わった澤村氏との話し合いの中身をなかなか明かさない。ただ、ヴァイッド・ハリルホジッチ元監督が2016年秋に実施した、キーパーだけを対象とした日本代表候補合宿へ抜擢されたシュミットはこんな言葉を残している。 「日本人で『デカい』と言われるキーパーがあまりもっていないような、動きの速さといったものを自分はもっと出せると思うので。そういう部分をもっと、もっと出していきたい」 動きの速さはビッグセーブを生み出すだけではない。ただでさえサイズが突出したシュミットが長い手足を大きく広げれば、大きな威圧感を相手へ与えられる。平均以上の俊敏性も搭載しているとなればさらに脅威は増し、より正確にコースを狙ってシュートを打たなければいけない、という焦りがミスを誘発する。