藤ヶ谷太輔、デビューから初の決断 「自分で動くべき時が訪れた」
アイドル活動、MC業に加え、俳優としても存在感を発揮している藤ヶ谷太輔。直木賞作家・辻村深月の小説を映画化する『傲慢と善良』(9月27日公開)では奈緒とダブル主演を務め、傲慢な男の心情や変化を鮮やかに体現している。もともと原作の大ファンで、自ら映画化について原作関係者にアプローチしていたという彼。本作は「やりたいと思うことがあったら、自分から動かなければいけない時がある」と仕事に対して強い意志を握りしめるきっかけになった、特別な1作だと明かす。 圧倒的な美&色香…藤ヶ谷太輔撮りおろし<3枚>
デビューした頃の気持ちを代弁するかのような原作
原作は、2019年に単行本が発売されるや、20代、30代を中心に多くの共感を呼び、累計発行部数100万部を突破した同名小説。マッチングアプリで出会った架(藤ヶ谷)と真実(奈緒)がようやく婚約した直後、真実が失踪。架が真実の両親、友人、同僚、婚活相手を訪ねて居場所を捜すうちに、彼女の過去と嘘が明らかになっていく。監督は、『ブルーピリオド』(公開中)などの萩原健太郎が務めた。 映画化が決まる前から、「人生で一番好きな小説」として挙げるほど原作に惚れ込んでいたという藤ヶ谷。人間が潜在的に抱く感情が生々しく描かれている小説に、ハッとさせられることが多かったと話す。
マッチングアプリで婚活をしているハイスペックな架は、無意識のうちに「自分に合う相手はどのような女性なのか」と選抜をしているが、藤ヶ谷は「仕事柄、ポスターや表紙を飾るとなると“隣にいる相手が誰ならば釣り合う、もしくは釣り合わない”という話を耳にすることもあって。デビューした頃には、“釣り合う、釣り合わないってどういうことなんだろう”と思うこともありました。そういった気持ちを見事に言語化してくれている小説」だと感心しきり。
藤ヶ谷がKis-My-Ft2のメンバーとしてCDデビューしたのは2011年のこと。「デビューしてこの世界に飛び込んだ時には、“バラエティーの立ち位置ではこうあった方がいい”とか“あなたはこういう仕事をやっていった方がいい”“あなたはこう見られている”と言われることがどんどん増えていって。気づいたら、“そういうふうにした方がいいのかな”と感じている自分もいました」と打ち明ける藤ヶ谷。「架も、友人に真実を紹介した時に“あの子には架はもったいない”“もっといい女の子がいるよ”と言われて、“そうなのかな”と思ったりしてしまう。“みんなが自分のためを思って言ってくれているのだから、きっとそうに違いない”と妄信してしまうことって、僕にもあったなと思うんです。そうやって知らず知らずのうちに、自分が“作られている”感覚。それは“作ってもらった”とも言えると思うんですが、そういった感覚にはとても共感できました」と架と同じように“人から見られる自分”を意識してしまう時期もあったという。 藤ヶ谷がしっかりと自分の考えを持つようになったのは、「30歳を過ぎてから」とのこと。「30歳くらいまでは、カッコつけのキャラで、まずは覚えてもらうことが大事だなと思っていました。30歳を過ぎてからは肩の力が抜けて、周りからどう思われるかもまったく気にならなくなって。エゴサーチもしません」と穏やかな笑顔を浮かべる。