最近続々と発表される軟鉄鍛造系のアイアンモデル。アベレージゴルファーが手を出していいもの!? フィッターと考えた
ブリヂストン、テーラーメイド、キャロウェイ…。最近、各メーカーから、ラインナップされる軟鉄鍛造系のアイアンモデル。アベレージゴルファーも使っていいのか、ギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人に聞いてみた。
ミスがミスと判断しやすい
クラブフィッター小倉です。2024年も下半期に入り、続々と新製品が発表、発売されています。その中でもアイアンは、軟鉄鍛造、フォージドモデルが数多くラインナップされました。軟鉄鍛造のアイアンは、文字通り軟鉄素材を鍛造製法で仕上げたアイアンで、複雑な構造にするのは難しく、極端な飛距離性能や直進性を高めることができない反面、打感といったフィーリング面や操作性といった点で優れたモデルを作りやすいといった特徴があります。 軟鉄鍛造のモデルは、主に中上級者に人気がありますが、初心者には難しいのか? といったご質問をよく受けます。私は、上達志向のあるゴルファーであれば誰にでもお勧めしています。モデルによっても差異はありますが、やさしさ、つまり打点のミスへの寛容性、直進性といった点では、鋳造モデルには及びません。現状でできるだけミスを減らしたいと考えるゴルファーであれば、ミスに強い鋳造モデルのほうがよいでしょう。そのほうが満足できると思います。 ですが、少しでも上達していきたいと考えるなら、軟鉄鍛造のモデルのほうがおすすめです。理由は、ミスをミスと認識しやすいから。ミスに強い鋳造モデルは、かなりのミスでも安定してボールを飛ばすことができるため、少々ミスしても気にならないですし、自身がミスしたかどうかも判断しづらくなります。 ミスがミスと判断できないと、スウィングスキルが身につきませんし、練習するための課題がはっきりしづらいです。軟鉄鍛造モデルは、芯で打てれば、気持ちよい打感で応えてくれますし、芯を外せば打感が変わり、ミスしたことを教えてくれます。もちろんそういったミスは弾道にも表れます。そのようなクラブによるフィードバックは、上達にとって欠かせないものだと私は思っています。軟鉄鍛造モデルの中でもミスに強いモデルから、操作性の高いモデルまでかなりの幅があります。上達はしたいけど、最大限やさしいモデルがよいならフルキャビティのモデルがおすすめです。 また個人的に、上達やスコアだけがゴルフを楽しむ部分ではないと思っていますので、難しいといわれるクラブを使う喜び、応援するツアープロと同じクラブを使う喜びというのも大いに使用する理由になると思います。 極端な言い方をすれば、本人が楽しんでプレーできているのであれば、どんなモデルを使っても良いと思っています。自分が満足!と思えるクラブを手にすればゴルフはもっと楽しくなります。上達したいのか? 現状で最大限ミスを減らしたいのか? 自分がクラブに求めることは何か、をまずは考えてみる。みなさんはアイアンに何を求めますか!?
小倉勇人