シリアで暫定政権が樹立、任期は来年3月まで…正式な新政権発足に向け準備
【カイロ=西田道成】アサド政権が崩壊したシリアで10日、旧反体制派を中心とした暫定政権が樹立され、初の閣議が開かれた。暫定政権の任期は来年3月まで。旧政権からの権力移譲を進めながら、正式な政権発足に向けた準備を進める。
暫定首相にはムハンマド・バシル氏が任命された。バシル氏は、2017年に旧反体制派を主導する「シャーム解放機構」(HTS)が北西部イドリブ県に設立した統治機関「救済政府」のトップを務めていた。
国営通信によると、初の閣議には旧アサド政権の閣僚や「救済政府」のメンバーらが参加した。暫定政権として治安の確保や諸機関の維持を担い、新政権発足までの間、国民への基本的なサービスの提供を目指すことを確認した。バシル氏は「旧政権の閣僚たちも政権移行期に役立ってくれるよう望む」と述べた。
ロイター通信は10日、旧反体制派の司令部が都市部から戦闘員を撤退させ、代わりにHTSの治安部隊などの配備を命じたと伝えた。首都ダマスカスでは10日、アサド政権崩壊以来初めて銀行が業務を再開した。交通が正常化し、商店も営業を始めているという。