新日本プロレスG1に乗り込むジェイク・リーの思惑 世界を目指して一歩前進
【柴田惣一のプロレス現在過去未来】
「反逆のシューター」ジェイク・リーの野望がまた一歩前進した。 ノア7・13日本武道館大会でGLGを解散し、デビッド・フィンレーの命を受けた外道から手渡されたBULLET CLUB WAR DOGSのTシャツを着用。「グッバイノア」と新日本プロレスへの乗り込みを表明した。 【動画】外道「ジェイク・リーはWAR DOGSがいただいたぞ。一軍の仲間入りだ!」 思えば全日本プロレスで三冠王座を獲得するなど頂点に立ち、2023年からノアマットに上陸。GHC王座を腰に巻き、GLGを結成するなど、ノアでも大活躍していた。 ノアファンにしてみれば裏切り行為だが、サポートしていた人たちに、区切りの挨拶をLINEメッセージで送っている。 きちんと新たな戦場に向かうことを伝えるなど、さすがリングを離れれば、義理堅く誠実で真面目な男である。 すでに新日本プロレスの「G1 CLIMAX 34」(7月20日、大阪府立体育会館で開幕)出場が発表されていたが、ノア所属ではなく、あくまでWAR DOGSのメンバーとして参戦することを満天下にアピールしたのだ。 全日本、ノアと日本マット界の主要団体を席巻し、新日本に乗り込むジェイク。元より世界進出を目指してきた。三冠王座、GHC王座に続いてG1制覇からIWGP王座を狙っているのは間違いない。 「私は私のなすべきことのために次なるステージに向かう」とキッパリ。さらなる高みを求めて精進する覚悟だ。実際、プロレス道場での練習に加え、格闘技道場に通うなど、向上心が高い。プロレスラーとして何をすべきか、常に考えている。 真摯に「私の考えるプロレス」を熱く訴える彼との語らいは、まさにトークバトル。○○分勝負と決めておかないと、延々と続きかねない。 武藤敬司、青木篤志ら多くの選手に指導を受けてきたが、TAJIRIの教えも大きかった。日本から世界へ飛び出し、日本に逆上陸。様々な団体で大暴れしてきたTAJIRIのレスラー人生を一つのお手本にしているのではないか。 TAJIRIは東京・八王子に在住していた時、ジェイクが自宅に遊びに来たことを明かしている。プロレス談議に花が咲いたことだろう。書籍を何冊も出版しており文筆業でもあるTAJIRIとの交流が、ジェイクの理論武装に役立っている。 「ジェイクには彼の生き方がある」と多くを語らないTAJIRIだが、ジェイクを気にかけているのは確か。ジェイクもSNSにTAJIRIの著書や顔写真をあげている。2人の絆は深い。 かつてTAJIRIも参戦したG1で、ジェイクも大いにアピールするはず。Aブロック開幕戦の相手SANADAは、ともに全日本OB。一足早くIWGP王者にも君臨したSANADAと、どう闘うのか。のっけから正念場だ。 そして現IWGP王者であり、新日本襲撃のきっかけともなった内藤哲也戦(7・23広島サンプラザホール)も見逃せない。広島はプロ野球カープファンとして知られる内藤のホームタウン。ジェイクにはアウェイのリングだろう。 あえてノアファンの反発を煽って新日本に“移籍”したジェイク。192センチの長身は国際基準で、新日本マットでも見劣りしない。どんなファイトスタイルで闘うのかはもちろん、どんなテーマ曲に乗って、どんなリングコスチュームで登場するのか、楽しみは尽きない。 G1の優勝大トロフィーを掲げ、IWGP挑戦をぶち上げるジェイクの勇姿を見てみたい。(文中敬称略)
プロレスTODAY