"アラサーアイドル"が中心に登場する雑誌『Duet LUXE』創刊ーーアイドル誌のターニングポイントに?
また『Duet』では、人気マンガ家の東村アキコ監修・森ヤマジの『テンパってるZ』という取材現場のレポートマンガも連載中。メンバーがお弁当を2個食いしていたり、つかの間の休憩に仮眠をするメンバーを他のメンバーが見守っていたりと、まるでいつも誰かしらがいる部室を覗いているかのような感覚になる。そんな和気あいあいとした雰囲気のなかで、アイドルとしてどんな表情を届けるのか、どんな発言でファンの心を掴むのか、彼らは学んでいくのだ。そして、スターダムを駆け上がった先に待っているのが、アイドル誌からの「卒業」である。 とはいえ、近年はアイドルとしての寿命は伸びていく一方。アラサーとなってもまだまだフレッシュな可愛らしさでファンを魅了するアイドルが多い中で、「卒業」を惜しむ声も少なくない。彼らと毎月必ず会える場所が、ずっとそこにあってほしいという要望も高まるばかりだ。そんな期待に応える形で『Duet LUXE』は生まれたように思う。 しかし、こうしてアイドル誌に舞い戻ってきた彼らを見ると、やっぱりグッと大人の男性として成長しているのを感じる。例えば、菊池風磨のインタビューでは、「『Duet』でアイドル人生初のインタビューを受けた日の記憶がまだ鮮明に残っている」と言いながら、主演ドラマ『私たちが恋する理由』(テレビ朝日系)で課長の役柄を演じていることについて驚きを隠せない様子。そして「改めて『オレ、課長になりました!』と『Duet』の別冊で報告できるのは、なんだか感慨深いですね(笑)」と語っていた。 ◼️アイドル誌との棲み分け、大人アイドルたちが帰ってくる「母校」感 活躍する大人アイドルたちも、アイドル誌という学び舎に戻ってきたからこそ語れることもたくさんありそうだ。SNSなどとは違う形で近況を報告したり、懐かしく振り返ったりする場所ができるというのは、また新たな魅力を発見できる機会になるのではないか。だが、それをアイドル誌本体でやってしまうと、これから羽ばたこうという若手アイドルたちのページが少なくなるというジレンマも起こるだろう。だからこそ、別冊雑誌という選択肢はとても理にかなっている気がした。 今回はVol.1ということもあり、「ちょっと大人な」というコンセプトをしっかりと伝えるべく、全体的にしっとりとしたグラビア&インタビューとなっていた。だが、もしこれから続いていくのであれば、むしろ「これぞアイドル誌!」と言いたくなるようなとびっきりなアイドルスマイルで圧倒してほしいし、「こんなことアイドル誌でしかやらないよ」と彼らが困り笑顔を見せるような誌面も見てみたいものだ。そんなアイドル誌の新たな可能性を感じることができた別冊『Duet LUXE』の創刊。ぜひとも、大人アイドルたちのまだ見ぬ魅力を掘り出すキラーコンテンツになることを願っている。
佐藤結衣