「とりあえずやってみて」→後でダメ出し…「昭和の悪しき伝統」を変えるたった1つの方法とは?
ダメだし版の経験学習サイクルは、次のような4つのプロセスを踏むだろう。 (1)実際に経験する (2)ダメだしされる (3)自信喪失する (4)新しいことを試したくなくなる マネジャーがとりあえず感覚で部下に仕事を投げると、部下も「とりあえずこなす」ことが目的になってしまう。これでは、いつまで経っても部下は育たない。 ● 指示に「見通し」を立てることが 部下の成長にもつながっていく したがって大事なことは、前提を揃えることだ。 どこまでの仕事をしたらOKなのか。そのための仕事のやり方はどんなものがあるのか。それを言葉にして、事前に認識合わせをする。 では具体的にどうしたらいいのか? 心がけることはたった1つだけ。 それは「見通し」を立てることだ。 「見通し」とは、ものごとの進展や将来を予測すること。具体的には、「初めから終わりまで」が明確に見通せるかが重要だ。 たとえば、分析の依頼をする場合、どのようなパラメータが重要か、それをどう分析し、結果をどうまとめるかという点を、部下に問いかけることで明確化させるのだ。 急かさず、否定せず、丁寧にやろう。困ったときには、掘り下げる質問を繰り返してみる。 「より具体的には何をすればいい?」 「たとえば何がある?」 具体的に掘り下げるには、この2つの質問は便利だ。 部下の考えを促すコツは、尋問にならないよう柔らかい表現で質問していくこと。そして適宜助け船を出すこと。上司自身もわからなければ、素直に伝えるのもいい。 「実は私もわかってないんだ。一緒に考えないか?」 「そうなんですね。お願いします」 この共同作業によって「見通し」が立つと、仕事の進行がより明確になり、部下も自信を持って取り組むことができる。とはいえ、どんなに精度の高い「見通し」を立てたとしても、想定していなかったことは起こるものだ。 それでも、「見通し」を良くすることで、未来への希望が持てる。前に進もうとする気持ちが晴れやかになるのだ。
横山信弘