金融市場も“アメリカ・ファースト” これから始まる「トランプ相場」を生き残る投資戦略【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
※本稿は、チーフグローバルストラテジスト・白木久史氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
------------------------------------- 【目次】 1.マーケットも「アメリカ・ファースト」 2.乱気流に突入するマーケット 3.トランプ2.0を生き残る投資戦略 ------------------------------------- 米国の大統領選挙と議会選挙は、共和党が大統領府と上下両院の過半数を全て押さえる「トリプル・レッド(共和党のイメージカラーの赤にちなんだ呼び方)」となりました。世論のお墨付きを得たことで、今後トランプ新大統領の個性的な経済政策が実行に移されることとなりそうです。「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げ、同盟国との摩擦や対峙する国への容赦ない攻撃をためらわないトランプ新政権がスタートすることで、世界の金融市場は乱気流に突入しつつあります。
1.マーケットも「アメリカ・ファースト」
■「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ新大統領は、国際協調や自由貿易よりも自国の利益を優先する政策を公言しています。まるで、アニメのドラえもんに登場するジャイアンのように「お前の物はオレの物、オレの物はオレの物」と言わんばかりの振る舞いに終始するようなら、のび太(日本)もスネ夫(欧州)もたまったものではないでしょう。 ■世界トップの経済大国による「ジャイアニズム全開」の経済政策を織り込んで、マーケットでも「アメリカ・ファースト」な展開が続いています。為替市場では対主要通貨でドル高が進み、貿易量で加重平均したドルの実質実効為替レートは、トランプ氏の勝利を受けて大きくドル高が進んでいます。 ■また、株式市場でも「米国の一人勝ち」が鮮明となりつつあります(図表1)。米国ではトランプ氏の当選以降は、マーケットやビジネスに追い風となる政策への期待から株高が続いていますが、こうした政策の「とばっちり」から、無理難題を押し付けられかねない周辺国の株式市場は冴えない展開が続いており、株式市場の2極化が鮮明となっています。
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