金融大手が手がける暗号資産:金融の未来がやってきた
BUIDLの開発
世界最大の資産運用会社がファンドのトークン化を開始したことで、市場はさらに注目し始めている。トークン化とは、資産や商品をデジタルで表現したものを発行することだ。 2018年以来、暗号資産の世界で語られてきたことを、機関投資家が現実のものとして作り上げていることはエキサイティングなことだ。最初の大きな一歩は、40 Actファンドのトークン化だった。 トークン化された米国債ファンドは10億ドルを突破した。フランクリン・テンプルトンは、同社の40 Actファンドが「セキュリティの向上、取引処理の迅速化、コストの削減など、ブロックチェーン統合システムの利用による運用の効率化を続けており、ファンドのシェア保有者に利益をもたらしている」と報告している。 トークン化された債券は、規制の不透明性から米国外でより普及している。HSBCは4つの異なる通貨で発行された6000億香港ドルの国債をトークン化した。 このネイティブデジタル債券は、決済時間を5日から1日に短縮している。格付け会社のムーディーズ(Moody’s)は、トークン化された債券を数多く評価し、正当性を与えた。 トークン化された住宅ローンも米国で登場している。この分野での最大手は、住宅担保ローンの一種であるホームエクイティ・ライン・ オブ・クレジット(HELOC)や住宅ローンをトークン化するだけでなく、格付け証券のトークン化も行っているフィギュア・テクノロジーズ(Figure Technologies)だ。 同社はまた、19.3兆ドル規模の米国住宅ローン市場においてMERS(住宅ローン電子登録システム)が独占している現状を打破するため、担保権と電子手形の両方のレジストリであるDARTシステムを立ち上げた。 シティやゴールドマンを筆頭に、投資銀行までもが顧客にトークン化サービスを提供している。そして、これはほんの始まりに過ぎない。 金融機関はデジタル資産をトークン化した商品を開発し、提供している。資本市場や金融機関にとって、ブロックチェーンテクノロジーのメリットは無視できない。古い銀行技術インフラをアップグレードすることと同じように、変化は困難だ。しかし、これが金融の未来だ。 アネリス・オズボーン(Annelise Osborne)氏:CoinDesk主催の暗号資産カンファレンス「Consensus 2024」のスピーカー。著書『From Hoodies to Suits: Innovating Digital Assets for Traditional Finance』は6月に発売予定。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Conny Schneider/Unsplash(CoinDeskが加工)|原文:Institutional Digital Assets: The Future of Finance Is Here
CoinDesk Japan 編集部