金融大手が手がける暗号資産:金融の未来がやってきた
ステーブルコイン
ステーブルコインは通常、通貨または安定した資産のバスケットに裏付けられて「ステーブルな(安定した)」価値を持つように設計された暗号資産(仮想通貨)のことだ。 資本市場の基幹は通貨であり、ステーブルコインは通貨のデジタル版だ。ステーブルコインは、他の暗号資産と同様に、後日の決済やフロート(送金や預け入れられた資金が利用可能になるまでの期間)はなく、所有権が即座に移転する。プログラムも可能だ。ステーブルコインの時価総額は1570億ドル(約24兆円、1ドル155円換算)にのぼる。 法定通貨への依存は、クレジットカードの普及やデビットカード、モバイルウォレットへの移行以来、大幅に減少している。アメリカの2023年の小売店頭では、現金決済はわずか12%に過ぎない。 ほとんどの銀行振り込み、給与支払い、請求書などは、大量の100ドル札や金の延べ棒ではなく、銀行と口座の間を移動する一連の数字だ。あなたは現金を手元にいくら持っているだろうか? さらに重要なことは、金融市場はグローバルなことだ。ステーブルコインは、24時間365日の取引への扉を開く。ステーブルコインに対する金融機関からの関心は、決済、財務管理、国境を越えた決済で際立つ。 米連邦準備制度理事会(FRB)は即時決済サービス「FedNow」を銀行に提供しているが、これは送金のフロート期間が問題であることを浮き彫りにしている。 このサービスには賛否両論があり、ステーブルコインのようなプログラム可能な柔軟性はない。FRBと財務長官は、デジタル資産となる中央銀行デジタル通貨(CBDC)を検討している。 JPモルガンは、預託証券に裏打ちされた内部ステーブルコイン「JPMコイン」を手がけており、同行内での支払い送金や決済に利用できる。JPMコインの取引高は1日10億ドルに達し、2023年にはレポ取引で2000万ドルのコスト削減が報告されている。 ソシエテ・ジェネラルはユーロ建てのステーブルコイン「SG-FORGE」をローンチした。これはパブリックブロックチェーン上にあり、取引所のビットスタンプ(BitStamp)で入手できる。 ペイパルは昨年、4億3500万人の顧客に向けてステーブルコイン「PUSD」をローンチし、ステーブルコインとビットコインの交換や小売店での買い物の支払いを可能にした。間もなく、国境を越えた決済も可能になるだろう。 フィギュア・テクノロジーズ(Figure Technologies)は、1トークンあたり0.01ドルの金利付きステーブルコインを発行している。このステーブルコインはKYC/AMLホワイトリストと米証券取引委員会(SEC)の承認を必要としている。この仕組みは、米国債に裏打ちされた低ボラティリティのトークン化証券であるArCoinをして発行しているArca U.S. Treasury Fundに似ている。 最近、米国の議員によってステーブルコイン規制法案が提出され、ステーブルコインの1対1での金融的裏付けと、アルゴリズム型ステーブルコインの禁止が求められている。今後の動きを注視していきたい。