小寺慶子のレストラン予報|白金高輪〈白金 芯〉
大人の胃袋と心を満たす絶妙な塩梅に安らぐでしょう。 “ちょうどいい” という言葉は、適切であることを示すほかに、きちんとしているという意味がある。過剰ではなく、物足りなくもない、ほどよい店を東京で見つけるのは思ったよりも簡単ではないが、白金の四の橋交差点近くにオープンした〈白金 芯〉を訪れれば、その加減のよさに心がたちまちほぐれるはずだ。 【フォトギャラリーを見る】 香川県の高松に生まれ、京都の大学で学んだのちに仕出し料理専門店〈菱岩〉へ。上京後は、広尾の人気酒場〈創和堂〉でも腕を振るった前田亮さんが営む新店では、季節の食材を盛り込んだ6品を11,000円のお任せで提供する。料理は月替わりで、限られた品数のなかでも起承転結をつけた旬味で構成。稚鮎の唐揚げはごま豆腐と合わせ、醤油だけで焼き上げる鰻はカリカリ梅と一緒に飯蒸し仕立てにするなど、さりげないセンスが光る。お任せを食べ終え、余裕があれば単品の追加も可能で、ほくほくと優しい風味のおからや小豆島そうめんを使った締めなども。自分軸で楽しむことのできる “ちょうどよさ” が、想像以上に心地いい。
〈白金 芯〉
東京都港区白金3-2-3 白金金春ビル1F TEL 070 9013 3094。18時~23時(コースの入店は20時まで)。日曜休。
photo_Kenya Abe text_Keiko Kodera