「死にたい…やっぱり物を忘れてる」など日記に がんとアルツハイマーで他界した母を介護 吉本芸人の北条ふとしさん、埼玉・三郷で講演 目標は毎日母を笑わす 無力と思った自分、介護経験から言える事とは
認知症について理解を深めようと埼玉県三郷市は、市文化会館で講演会を開いた。同市在住で吉本興業埼玉県住みます芸人の北条ふとしさんが母を介護した経験を語った。 さいたま市高齢者福祉施設廃止 方針撤回の願い届かず 補償開始も不安と怒り【写真2枚】
北条さんは、芸人として活躍する一方、両親の介護がきっかけで、介護をめぐる講演活動に取り組んでいる。講演では大腸がんとアルツハイマーを患い他界した母を介護した経験を振り返った。 認知症の診断を受けた北条さんの母は日記に「忘れるのが怖い。信じられない。やっぱり私は物を忘れてる。死にたい」などと記していたという。北条さんは「日記を見てて、認知症になる、先のことが分からないって、本人にとっては本当に怖いこと」と当時の母の気持ちを代弁した。 介護する中で、北条さんは毎日母を笑わすという目標を立てた。「笑顔って伝染する。笑顔がすてきな母。1日1回でいいから、くすって笑ってほしかった」。歌を一緒に歌い忘れた歌詞を教えあったり、外食中、食べているメニューを忘れた母のエピソードも紹介しながら「良い思い出。一つ一つの会話が楽しかった」と思い起こした。 介護を経験し「自分は無力だと思った。唯一愛情を注ぐことしかできなかった。でも相手には愛情が伝わる。経験したから言える」と強調した。
一方、過去に介護に苦しみ親を手にかけ本人も自死した事例を紹介。介護をする家族の苦労に寄り添い医療機関や介護事業者ら専門家と連携する必要性を強調した。「周りを頼って良い環境をつくって。(介護は)1人で絶対やっちゃだめ、それだけはお願いします」と話した。