次の大学入学共通テストに新教科「情報」追加!受験勉強はどうすればいい?
志望する大学・学部により優先順位が変わる
受験勉強の最大の目標は志望校に合格することですから、限られた時間の中で行う戦略としては、配点の高い科目や差がつきやすい科目を優先して取り組んだほうが有利になります。現在、「情報」の受験対策が進んでいないと感じている高校生は少なくないと思いますが、不安になるようであれば、「情報」以外の受験勉強に集中して、志望校の入試でウエイトの高い教科・科目の対策に学習時間や学習量をかけたほうがよいと思います。 その理由を示したのが下表です。京都大学教育学部を受験したAさんとBさんは、共通テストの素点が同じでも、合否判定に利用する換算得点では、共通テスト部分265点満点中で28点もの差がついてしまうのです。京都大学教育学部受験における学習の優先順位をつけてみると、1位は「英語」「数学」です。2位は「国語」、3位は「理科」、4位「地理・歴史、公民」、5位が「情報」となります。同じ学習時間であれば、「情報」にかけるよりも「地理・歴史、公民」の選択科目(例えば「公共・倫理」)に重きを置いたほうが効率的な学習となります。 ただし、すべての学部・学科にいえることではないことにご注意ください。東京学芸大学教育学部中等教育専攻情報コースでは、「情報」のウエイトは「外国語」「国語」「理科」並みに12.9%と高いのです。 また、「横浜市立大学国際教養学部、国際商学部、理学部それぞれの前期B方式は、共通テスト『情報』が選択科目」だと先述しましたが、学校推薦型選抜では必須です。国際教養学部・国際商学部では「情報」が「理科」と同じ配点、理学部では「情報」が「地理・歴史、公民」と同じ配点です。 このように志望大学や入試方法によって、学習の優先順位は変わってくるのです。志望する大学・学部・入試方式で課される科目・配点を大学HPでチェックしておくと、優先順位をつける目安になります。
私立大学専願の場合、「情報」を選択科目にするのはお勧めできない
では、私立大学専願者はどうでしょうか。入試区分別に見ていきましょう。 年内入試の場合Ⓖ 公募制の学校推薦型選抜や総合型選抜でも、一部の大学では学科試験を課しています。その教科・科目数は1~3科に限られており、「情報」受験を必須とする大学は2023年11月20日時点では確認できていません。 例えば、近畿大学は例年12月に大規模な公募制推薦(学力検査による入試)を行いますが、2025年度出題科目に「情報」を予告していません。帝京大学では、すでに2024年度入試の総合型選抜において、基礎能力適性検査の選択科目に「情報」が含まれています。2025年度の出題科目に「情報」が含まれるとも予告していますが、「必須」とすることはないと思われます。 共通テスト利用・併用入試の場合ⒺⒻ 共通テスト「情報」を選択科目として採用する大学は早稲田大学、明治大学、立教大学、中央大学、法政大学など数多くあります。しかし、その中で「情報」を必須とする大学は、2023年11月20日時点では確認できていません。 大学個別入試の場合Ⓓ 2024年度入試で慶應義塾大学、駒澤大学、東洋大学、武蔵野大学、麗澤大学、東京国際大学、湘南工科大学、名古屋文理大学、関西国際大学などで「情報」を出題科目としていますが、どの大学も選択科目としています。 2025年度からは、日本大学文理学部「A方式」、立正大学「情報受験方式」、京都産業大学理学部・情報理工学部などが、入試科目に「情報」を組み込んだ個別学力試験を新たに実施することを発表しています。しかし、これらの大学でも「情報」は選択科目であるか、「情報」が必須の入試を行うものの「情報」を必須としない別の入試方式でも受験できるようになっています。 つまり、私立大学で「情報」受験を必須とする大学はないと言えます。「情報」が好きで得意な受験生でなければ、無理に「情報」の受験勉強に時間や労力を割く必要はないのです。 首都圏の主な私立大学の経済学部(経済学科)を併願しようとすると、下表のように「情報」を選択科目として活用できる大学・入試方式は限られていることがわかります。これらの大学を受験する場合は「数学」や「歴史総合・日本史探究」などを選択科目にしたほうが、大学選びや併願の幅が広がるでしょう。私立大学専願の場合、「情報」を選択科目にするのはお勧めできないということになります。