<プロ野球>阪神・福留孝介から聞こえる復活の足音
沖縄・宜野座で行われている阪神のキャンプを取材してきた。藤浪の、“2年目のジンクス”など吹き飛ばすような力感、掛布チルドレンと言われる緒方、森田ら若手の成長、高代延博内野守備コーチが持ち込んだ細やかな守備、走塁の技術練習、第5の先発の座を争う若手の激しい競争など……、テーマは盛りだくさんであったが、目についたのは、今季の再生に賭けている福留孝介の元気さだ。 「引退するつもりだった」メジャーから日本復帰の尚成
■心配されたひざの故障も回復 阪神を視察していた広島の井生崇光スコアラーの話を聞いたが、「実戦が始まる時期までは、全体的に新しい戦力や変化についてチェックします。福留は、昨年は、ひざの故障で試合数が少なかったですが、心配のない状態に戻っていますね。実績のある選手ですから、コンディションがどれだけ保てるかでしょう。去年のような結果では終わらないと警戒しています」と、ベテランの再生についてマークしていた。 第一クールの終わりには、居残り特打で80分間、打ち込んだ。若手のスポーツ新聞記者のカウントによると、300弱ほどスイングをして51本が柵を越えたらしい。 ■掛布DC「感覚が戻れば結果につながる」 私は、重心の位置とバットの軌道について注意しながら見ていた。阪神DCの掛布雅之氏から福留が打率.198と低迷した理由について「メジャーではボールが重たいため、強く打つことを意識しすぎて、かかと重心になり、バットのヘッドが、体から離れて回ることになっていた。そのため、逆方向への打球が減った。下半身の故障もあって、日本でなかなか修正できなかったのではないか。彼は、右足の裏でボールをとらえる感覚を口にしていたが、そういう感覚が戻り、バットの軌道がコンパクトに変わっていけば、結果につながっていくだろう」と聞いていたからである。 スイングには力感があり、バットのヘッドはコンパクトな軌道を描いていた。重心も極端な後ろ重心でもない。再生への大きな足音が聞こえた気がした。関川打撃コーチも「インサイドアウトでしっかりとバットが出ている。この時期にこれだけ振れているのはいい」という手ごたえをつかんでいた。