「中国を離れて心配になるのは治安だ」8年で280億円を“荒稼ぎ”した元ブラジル代表オスカルの告白「生活の質は比類がない」
セレソン(ブラジル代表の愛称)のナンバー10を背負った名手の去就が小さくない注目を集めている。かつてプレミアリーグの強豪チェルシーでもプレーした経験を持つオスカルのそれだ。 現在33歳のオスカルは、16年12月にチェルシーから中国リーグの上海上港に移籍。当時にアジアのクラブが支払った額としては史上最高となる移籍金5200万ポンド(約72億8000万円)での電撃入団だった。彼がブラジル代表のレギュラー格であったこともあり、キャリアの最盛期での決断は国際的な話題ともなった。 その後、在籍7年間で公式戦235試合に出場して72得点を記録してきたオスカル。彼はブラジルの日刊紙『Folha de Sao Paulo』のインタビューで「母も年を取ったし、姉妹も子どもを産んだ。だから僕らは共に暮らすことを望んでいる」と、中国リーグが全て終了する12月に退団することを示唆。約8年間で約15億元(約280億円)という総年俸を稼ぎ、順風満帆だった中国での生活を次のように振り返っている。 「中国の生活の質は、僕にとって比類のないものだった。今、上海を離れる決断をして一番心配になるのは治安だ。これは僕ら家族にとって、とても重要な部分なんだ。ここ(上海)の生活の質は世界のどこと比べてもユニークで、ヨーロッパでも見たことがないものだった。 僕の子どもたちはスクールバスを使っているから学校に行き来するのも安全で、送り出すのも簡単だ。それに夜中の2時や3時に家を出たとしても危険はない。ここにはドラッグ絡みの問題もない。本当にまったくの別世界なんだ。それは上海に来て、住んでいる人たちだけが知っていることだ」 3歳で父親を交通事故で亡くし、母親の女手一つで2人の姉妹と共に育てられてきたオスカル。ゆえに「全てのサッカー選手、全ての働く人は、家族を助けるためにお金を稼ぎたいと思っている」とも語る彼にとって、莫大な年俸と治安が良さは、世界を仰天させた移籍の要因となったのだろう。 今後については「ブラジルからもオファーを貰っているよ」と母国復帰の可能性も示唆しているオスカル。アジアで巨万の富を掴んだ名手の心にはゆとりがある。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]