東京消費者物価2カ月連続伸び拡大、補助金終了でエネルギー押し上げ
(ブルームバーグ): 全国の物価の先行指標となる12月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2カ月連続で伸びが拡大した。日本銀行が目標とする2%を2カ月連続で上回り、市場の早期利上げ観測が維持されそうだ。
総務省の27日の発表によると、コアCPIは前年比2.4%上昇した。市場予想は2.5%上昇だった。電気・ガス料金への政府補助金の終了でエネルギーが13.5%上昇し、全体を押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.8%上昇と、前月から伸びが縮小した。
日銀は経済・物価見通しが実現していけば、利上げで金融緩和度合いを調整する方針だ。植田和男総裁は政策を維持した19日の記者会見で、最近の経済・物価指標はおおむね見通しに沿って推移していると述べたが、今回も想定通りの結果と言える。総裁が会見で指摘した来年の春闘のモメンタムとトランプ次期米政権の経済政策の見極めが、追加利上げ時期の鍵を握ることになる。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、物価の基調は「弱めだが、日銀の利上げを妨げるほどでもないという感じだ」と指摘。実際には賃金の動向が判断の鍵になると述べた。その上で、「賃金のトーンを1月で判断するのか、3月までの待つのか」とし、来年1月の日銀支店長会議もヒントになると語った。
賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.0%上昇と、前月を上回った。総務省によると、人件費や材料費の高騰で自動車整備費(定期点検)が上昇し、家事関連サービスの伸び拡大に寄与。コーヒーやコメの原材料費上昇が外食サービスの押し上げにつながった。
日銀は政策判断で重視する賃金と物価の好循環に関して、賃金上昇の物価への波及、特にコストに占める人件費の比率が高いサービス価格の動向に注目している。
植田総裁は19日の会見で、利上げの判断に至るには「もうワンノッチ(1段階)ほしい」と発言。その中に賃金上昇の持続性も入るとし、来年の春闘のモメンタム(勢い)を見たいと述べた。25日の講演では、大企業を中心とした高水準の企業収益が中小企業や家計にしっかり分配されることが好循環の持続に不可欠とし、中小企業の賃上げに向けた動きを確認していく考えを示した。