ノーベル平和賞、選考過程の秘話を聞かされた被団協「すごい判断をされた」 来年は被爆80年
ノルウェー・オスロでのノーベル平和賞授賞式で演説した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員(92)が24日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。来年の被爆80年に向け「(ロシアなどに)核のタブーを崩されないよう、証言の大運動をしたい」と述べた。年明けに石破茂首相との面会を調整していることも明らかにした。 田中さんは授賞式出席を経て「私たちの名前、運動が欧州に広く伝えられた。この機会を生かして、(核兵器廃絶に向け)頑張らなきゃいけないと思っている」と力を込めた。 授賞式後にノーベル賞委員会関係者から聞いた秘話も披露。委員会側は当初、被爆80年の来年に授与することを考えていたが、節目の年に核廃絶の世論を盛り上げる狙いで、今年に決めたという。田中さんは「すごい判断をされた」と語った。 同席した事務局次長の浜住治郎さん(78)は、来年3月に米国で開かれる核兵器禁止条約第3回締約国会議に被爆者を派遣する方針を示した。 被団協は日本政府に対し、条約への批准を見据え、オブザーバー参加を求めている。田中さんは首相との面会では、「唯一の被爆国の日本が核廃絶のリーダーシップをとらなくてどうする。核兵器を使った戦争が起きた時に、どういう状態になるか想像したことがあるか」と伝えるという。 (村田直隆)