観光収入目標602億円 移住者7千人目指す 県の新奄振計画 28年度までの5年間
【鹿児島総局】県は18日、2024年度からの5年間を計画期間とする、新たな「奄美群島振興開発計画」を策定した。計画は今後の奄美振興に向けた基本的方針や各島の方策を示すもの。22の項目で最終28年度末時点の数値目標を定めた。観光収入額は22年の約2倍に当たる602億4700万円、奄美群島エコツアーガイドの認定数は260人(23年3月時点・161人)とし、県外から奄美への移住者数は、計画期間累計で7千人を目指す。 23年度末で期限切れとなった奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の改正法成立を受け、国土交通省が関係省庁と協議して新奄振計画の基本方針を決定。振興開発の柱に「移住・定住の促進」を位置付け、空き家などの活用による移住者向け住宅の確保や、各分野で沖縄との連携を促進することなどが盛り込まれた。 県は基本方針や奄美12市町村の「奄美群島成長戦略ビジョン2033」、パブリック・コメント(住民意見の募集)などを踏まえ、群島全体と島別の振興方策を取りまとめた。奄振計画に基づく事業では、公共事業における国費率のかさ上げ適用や、奄振交付金の活用が可能となる。 数値目標では、▽移住・定住の促進▽世界自然遺産登録を契機とした自然環境の保全と利用の両立、文化の継承▽稼ぐ力の向上▽群島が抱える条件不利性の改善▽生活基盤の確保・充実―に関する指標を設定した。 奄振計画の策定を受け塩田康一知事は「今後、国や市町村などと連携して、着実な事業の推進に努め、わが国の地域振興の先進地域となるよう、奄美群島の振興・発展に一層全力を尽くしていく」とのコメントを出した。
南海日日新聞社