「選手会の問題だろうが!」長州力が控室で大暴れ 単なる昼夜興行を一変させたアドリブ力
【プロレス蔵出し写真館】長州力がドイツから凱旋帰国した天山広吉に〝大金星〟を献上した。 【写真】ブチギレ長州がイスで維震軍を威嚇した 今から29年前の1995年(平成7年)2月12日、後楽園ホールで平成維震軍の自主興行が昼、新日本プロレス本隊の興行が夜に行われた。 長州は本隊の興行で橋本真也&平田淳嗣と組み、蝶野正洋&ヒロ斎藤&天山組と対戦した。 前年12月末の帰国時、平成維震軍に成田空港で拉致され、軍団に勧誘されていた天山は、昼の興行で越中にモンゴリアンチョップを見舞って〝NO〟を突き付けた。そして、蝶野とともにメインに乱入して、マサ斎藤や平田にも牙をむいた。 その流れのまま夜の興行では蝶野と〝悪の合体〟を果たしたのだった。 天山は長州にモンゴリアンチョップ6連発を決め、ヒロと2人で合体パイルドライバー、最後はコーナーに上りダイビングヘッドバットを決めて、長州にとどめを刺した。 控室に引き揚げる長州、橋本、平田を追ってマスコミも控室へ。長州は正面奥のイスにどっかと腰をおろしたが、橋本と平田は長州から距離をとってテーピングをほどいていた。 少したって突然、長州が橋本と平田を怒鳴りつけた。 「何を『お前ら』だ!お前ら」。平田と橋本にイスを投げつける(写真)。 「『お前らお前ら?』お前だろ、この野郎コラ! ふざけんじゃねぇぞコラ! オレひとりでやってんじゃねぇぞコラ! お前ら選手会の問題だろうがコラ! この野郎てめぇら! 越中だろうが蝶野だろうが山本(天山のこと)でもお前らだろうがコラ! オレの体ひとつしかねぇんだぞコラ!」(まさに怒髪天を衝くとはこのことだろう)。 「お前ら調子に乗る奴を上でひとつでも対処できんのかコラ! お前ら、山本も選手会の問題だろうがコラ! ひとつぐらい潰してみろ、蝶野だろうが越中だろうが。そうしたら認めてやるわコラ!」 平田に向けてはさらに激しさを増す。「お前は、てめえはだれの責任でお前…体こっちはひとつしかねぇんだこの野郎! 何帰ってきて悔しがってやがんだこの野郎!」(※WARへの〝出向〟期間が終了) 橋本と平田は、蝶野の控室に殴り込みに向かった。 長州に〝檄を飛ばされた〟選手会長の橋本は「こんなことを放っておけば、海外へ出た選手がみんな自分勝手な行動に走ってしまう。絶対に許すわけにはいかん。できなければ、選手会が存在している意味がない」。帰国命令を無視した西村修にも言及し、翌日、天山の選手会永久追放と処分を発表した。 ところで、長州は後楽園大会の昼にも出場が予定されていたがすっぽかし、平田が代役としてリングに上がっていた(欠場理由は寝坊とされた)。 メインが終了し、長州が会場に到着した報を受けた越中らメンバーは控室前のスペースに集合し、長州に文句をつけようと勢揃いしていたが、勢いよく控室の扉が開くと私服にサングラス、イスを手にした長州が飛び出してきた。そして手前の壁を思い切りイスで引っ叩き、逆に維震軍を威カクした。 まさに終わってみれば〝長州劇場〟だった。 越中は後に東スポコラムで「長州さんも乗ってきて乱闘になった。あれがなかったら何でもない昼夜興行だった」と長州のアドリブに感謝したと振り返った。 この興行の後で「狼群団」と命名される蝶野、ヒロ、天山。 後年、蝶野のユーチューブチャンネルで天山は「普通に本隊にいるのが一番安泰なんですけど、本隊の規則がかなり厳しい。上下(関係)もそうですけど、何かしら文句言われて居心地があんまりよくなかったですね。かなり苦痛な日々を…」と語っていた。 蝶野は「あのときは長州さんが天山をかわいがって目をかけていた。橋本真也と獣神サンダー・ライガーっていう〝タチが悪い〟先輩が2人いたから、ここから離さないといけないなっていうのがオレはすぐわかった」と明かすと、天山は「蝶野さんが救いの手を差し伸べてくれたから、それで逃げられたって感じですね。今の自分が(あるのは)、やっぱりあの時の選択が間違いなかったって思いますね」と振り返った。 さて、先日11月25日放送の日本テレビ系「しゃべくり007」の「山口県人会SP」に長州が出演。 お笑いタレントのやす子は、MCの上田晋也に「知ってるの? 長州さんのすごさ」と聞かれ、隣に座る長州に「知ってますよ!元気なおじいちゃんですよね」と言い放った。 今の世代にとって元気なおじいちゃんは、昔は〝超〟怖かった(敬称略)。
木明勝義