「モルック」体験会など参加型企画も―日本リウマチ学会、山形市で市民公開講座開催
◇「本質をとらえる」を目指すテーマ、ポスターにも“3つの意味”
今回のテーマは「流心をとる Catch the essence」としました。川面は非常にフラットに見えますが、実はその下に流心という“川の中心”があります。そこにフライ(毛ばり)を流さないとサケに出合えないという故郷のある老練な釣り師の言葉から、見えるものと見えないもの、あまたある情報の中から本質をとらえる力を養ってもらいたいという思いを込めて決めました。米国ミネソタ州に住んでいる釣り仲間に相談したところ「Catch the essence」という英語のタイトルを贈ってくれました。 ポスターには3つの意味が込められています。写っているのは山形県を流れる早春の赤川の河口付近。遡上するサクラマス(チェリーサーモン)を釣りに行った際、袖浦橋から見た日本海に沈む夕陽があまりに美しかったので撮影した写真です。リウマチの語源は、流れるという意味のギリシア語「rheuma(ロイマ)」に由来し、テーマの「流心をとる~Catch the essence~」のほかに、リウマチ患者さんやそのご家族の気持ちに寄り添うということも表しています。また、リウマチ学は炎症をいかに抑えるかが大きなテーマです。沈みゆく夕陽は炎症を抑制することの象徴です。ポスターの下には開催地・神戸市の美しいウォーターフロントの夜景を配しました。震災から復興した街並みにリウマチの炎症で傷んだ組織再生への願いも重ねてみました。
◇研究・臨床通しリウマチ学発展への貢献目指す
リウマチは治療薬の発達で治癒が期待できる病気になりましたが、こうした新しい薬は高価なため治療に乗り出すには高いハードルがあります。リウマチの炎症は組織を破壊するため、早く治療を始めたほうが予後はよいのですが、新しい薬を使い始めるには二の足を踏む方も少なからずいます。ときに経済や家庭環境などの要因で治療に積極的になれないというのが現実もあります。 リウマチをはじめ若い時期に発症する病気も含まれ、患者さんの高齢化と合わせると、リウマチ性疾患による社会の負担は非常に大きいものがあります。高額ですが、うまく薬を使って治療すれば、より予後の改善が見込める時代となりました。それによって社会復帰やより積極的な社会参加が可能になり、社会が好循環するという面に目を向けることも大切だと思います。患者さんやそのご家族、治療を担う医療体制を社会全体で支えていくことはとても大切と考えています。薬の治療をはじめリウマチ治療全般についても医師と患者さんだけの問題ではなく、社会全体で考えてもらいたいと思っています。社会経済的な側面にも配慮しながら、リウマチ性疾患の研究・臨床を通して日本のリウマチ学の発展に貢献すること、リウマチ診療のいっそうの向上を図ること、多職種・多分野連携、国際化といった”流れ”が、今の日本リウマチ学会に求められる大きな役割だと思っています。