「受験生に申し訳ない」遠すぎる共通テスト会場、でも増やすのは困難
大学入学共通テストの試験会場が、愛媛、佐賀、熊本の3県は県庁所在地にしかない。愛媛県は松山市内の3カ所に限られている。遠方の受験生が不利な環境を改善してほしいという保護者らの声を受けて、県東部の四国中央市と新居浜市は昨年、愛媛大に対して会場新設を要望。しかし、回答は「困難」だった。 【写真】倍率35倍の人気、東洋大の新入試が物議 「ルール違反」と文科省 県内の試験会場は、松山市内の愛媛大と松山大の計3会場のみ。県東部と南部の受験生は前泊して試験に臨むことが常態化しており、経済的、心理的な負担の観点から不公平との声が保護者などから上がっていた。 そのため、四国中央市と新居浜市は昨年12月、試験会場を選定する連絡会議の世話大学である愛媛大に対し、県東部での会場新設を求める要望書を提出していた。 両市によると、愛媛大は「現時点では、四国中央市または新居浜市に試験会場を新たに設置することは困難」と11月14日付で回答。理由について、人員派遣や試験問題の輸送などの観点から、試験の実施を担当する松山市や今治市などの大学から距離がある点や、会場の継続的な確保のめどが立たない点を挙げた。 愛媛大入試課の担当者は取材に「確実な試験の実施のため総合的に判断した。受験生の立場にたって前向きに検討したが、会場新設がかなわず申し訳ない」と答えた。 四国中央市の担当者は「(松山市の会場から)距離があるから要望しているのに、『距離があるから新設は難しい』とはいかがなものか。これで断念はしない。新居浜市と意見交換して今後の方向性を整理したい」。新居浜市の担当者は「四国中央市やPTAなどと協議し、継続して愛媛大にお願いしたい」としている。(川村貴大)
朝日新聞社