杵築市がアフリカ2カ国の万博「ホストタウン」に 山香町の坪井さんのネリカ米普及活動きっかけ
来春開幕の大阪・関西万博に向けて、参加国・地域との交流を促す内閣府の「万博国際交流プログラム」に大分県杵築市が登録された。アフリカのジンバブエとブルンジの「ホストタウン」となり、両国の大使館関係者らを招いて交流を深める。乾燥した土地で育つネリカ米栽培の世界的な第一人者、坪井達史さん(74)=同市山香町野原=の活動が両国と絆を深めるきっかけとなった。 プログラムは国内の自治体が万博の参加国・地域と人的や経済的、文化的な相互交流を図り、地域活性化などにつなげることを目的にしている。13日時点で全国の11府県と65市区町村が登録された。県内では竹田市(相手国は南米・パラグアイ)に続いて2例目になる。 ジンバブエはアフリカ南部、ブルンジは東アフリカ内陸部に位置する。坪井さんは国際協力機構(JICA)の稲作上級技術アドバイザーとして長年にわたり、食糧難に悩むアフリカなどで技術指導に尽力。ネリカ米の普及に努めた。両国では2023年3月から今春にかけて活動した。 杵築市は登録に伴い、両国の大使館関係者を市内の小中学校に招待し、子どもたちと交流を図る予定。日本在住の両国出身者が同市を訪れ、料理や音楽を通じて親交を深めることも計画している。 同プログラムに関連したイベントが先月26日に東京都港区のホールであり、永松悟市長と坪井さんがネリカ米や両国とのつながりなどを紹介した。 坪井さんは今春、稲作指導の第一線を退いた。今後は後進の育成とともに杵築市と両国との橋渡し役を担う。 「杵築の子どもたちに交流を通じて農業や貧困問題などアフリカの現状を知ってもらいたい。国際貢献に興味を持ってもらう契機になればうれしい」と話した。 【ネリカ米】高収量のアジア稲と病気や雑草に強いアフリカ稲を交配した陸稲品種の総称。1992年、種間交雑に初めて成功した。生育期間が短く、耐乾性・耐病性が高いといった特長がある。