指導者として第二の野球人生を歩み始めたイチローが目指すのはメジャー監督?GM?新しい価値観を創造できるのか
そんな微妙な距離感はもちろん、時間が経てば消えるのだろうが、イチローが今後、どう指導していくのか、という興味は尽きない。現役時代、自分のことしか気にしていないなどと批判されたこともあるイチローだが、チームメイトのことを本当によく見ていた。自分から指導などをすることは決してなかったものの、聞かれれば気づいたことを伝えた。 マリナーズにいたマイケル・サウンダースがかつて、こんなことを言っていたのを思い出す。 「アドバイスを求めると、的確に指摘してくれる。自分のことなんて見ていないと思ったけど、自分のようなルーキーのことも見ていてくれた」 イチローとは今も交流が続く。 おそらく、若い選手との時間が密になり、そこに面白みを見出すことで次に目が向くとしたら、マイナーリーグ・ディレクターという仕事ではないか。 この職種は、傘下の全マイナーチームのトップであり、末端のコーチとの契約にまで権限は及ぶ。スカウティング、ドラフト、育成の基本方針を決めるのはメジャーのゼネラルマネージャーだが、練習方法だったり、データ分析の手法だったり、細かい部分はマイナーリーグ・ディレクターに託される。自由度は決して低くない。メジャーとは違って、思ったことをすぐに実行できる小回りも利く。 また今、そこを重要視するチームは少なくない。チームの土台だからである。もしそこで実績を残せば、いつGMの声がかかってもおかしくない、というポジションでもある。 監督のルートからは外れているが、そもそも監督という職業にイチローが興味を持っているのかどうか。 引退会見でイチローは、「監督、絶対、無理っすよ。これは絶対、がつきますよ。人望がないですよ、僕。それぐらいの判断能力は備えているので」と将来の監督就任について否定したが、多分、今の大リーグの監督には魅力を感じていないーー。 今、自由に打順を決められる監督が少なくなっているというのは、広く知られるところ。